食べ物あれこれ
まず基本として抑えておくこと。全ては化学物質。全ては毒。食べ物もそれ以外もあらゆる物質が毒である。
「毒性学」という学問がある。
あらゆる物質の毒性を調べる学問だ。毒性学の定義に従うと、あらゆる物質は毒である。
「毒」というものは、ある量を超えた瞬間から「毒性」を発揮する。
この「毒性」が現れる限界量のことを「閾(しきい)値」と言う。
閾値を超えるまでは、毒性は現れない。
そして、ここが何よりも肝心なところだが
”どんな食品にも「閾値」が存在する”のだ。それゆえに毒性学では「あらゆる物質が毒である」と定義する。
今回の話をまとめると
1.あらゆる物には毒性がある。
2.毒性は、閾値を超えたときに現れる。
3.閾値は生物によって違い、ある生き物にとっては普通に食べられる物も
別の生き物にとっては毒になる事がある。
そういうわけなので農薬を使わなくても野菜そのものだって毒だったりする。しかも動植物どちらであれ生き物は自分を守る為に強力な毒を持つ場合がある。実は野菜もそうなのだ。
野菜に含まれる発がん性物質のうち、もっともリスクが高いのは、実は野菜自身が作る物質だ。
農薬はもっともっと、かなり下の方にいかないと出てこない。野菜も元は自然に生えていた植物だ。
動物や昆虫に食べられないよう自衛する必要があった。
植物の中には食べられないよう体に毒を貯めるという手段を取るものも出てくる。カフェイン酸、リモネン、アリルイソチオシアネート
こういった成分はコーヒーや野菜のうまみ成分なのだが
同時に強い毒性も持っている。
前回も言った様に、例えばカフェイン酸ならコーヒー100杯分であの世行きだ。
多いと思うだろうか?単体だとたったの20mg。1円玉の1/50の重さしかない。
睡眠薬の危険度を10としたら環境汚染物質やアルコール類が0.5〜5といったところ。食べ物のリスクが高めの物で0.01〜0.2
肝心の残留農薬やダイオキシンはというと…
ひところ話題になった農薬のDDTが0.002、これはニンジンと同じ数値だ。
ダイオキシン類のTCDDが0.0007、これはベーコンと同じ数値。
農薬類はさらに桁が下がらないと出てこない。
蓼食う虫も好き好きというわけで、食べられる毒物を食べているとも言える。食べるというのは異物を取り込み同化することだ。
農薬で守られるようになったとは言え
昔は植物も自分の身は自分で守らなければならなかった。
毒によって身を守ることは植物にとっては当たり前のサバイバル戦略なのである。じゃあなんで虫は野菜を食べているのかって?
良く観察してみよう。植物の種類ごとに付く虫は決まっている。
こういった虫たちは植物の毒に抵抗できるようになった者たちなのだ。
中にはアゲハチョウのように、他の生き物が絶対に食べない植物をわざわざ好き好んで食べる変わり者もいる。
競争の心配がなく安心して暮らせるからだ。ついでに言えば、農薬で守られている野菜よりも
有機栽培で作った野菜の方がこうした有毒成分は多くなる。
当然だ。野菜は自分で自分の身を守らなければならないわけだから。
有機栽培よりも農薬を適切に用いた方が安全な野菜ができるという皮肉な話だ。
(もっともこれらの成分は同時に野菜の味の成分でもあるので、味は落ちるかも知れないが)
それでも、「農薬だって危険なんでしょう?」とまだ納得がいかない人もいるかもしれない。
確かに危険だ。直接皮膚についたり吸い込んだりしてしまった場合は。
こういう摂取の仕方をしてしまうと農薬が直接血管に吸収され、長期間さらされ続けた場合は一部の農家の人がそうなるように、健康障害を起こすことになる。では、収穫して店に並んだ野菜なら?
確かにごく微量の農薬は残っている。
しかし、水で洗い、皮をむき、火を通した頃には10分の1も残っちゃいない。
元々大した量でないのに、さらに少なくなってしまうのだ。
そもそも現在の農薬は速く効き、速く分解することを心がけて作られている。
一昔前の、一度播いたらずっと残るような農薬とは違うのだ。
とくに現在は残留農薬の試験を行なう時など、すりつぶした野菜の汁で農薬が分解してしまうほどで、分解を押さえるための薬品をわざわざ入れておかないといけないほどだ。
野菜本来の有毒成分に比べれば何の心配も無いのである。
しかし農薬のイメージは非常に悪いので悪評が再生産され続けている。有機無農薬と聞いたら安全だと思い込んでしまう。古い情報で判断して他の選択肢は捨ててしまうことが起こる。
確かに1970年頃までの農薬は危険でした。
しかし、現在の農薬の安全性は当時とは雲泥の差で、まるっきり別のものに変わっています。
「公害」が叫ばれていた頃の農薬のイメージが未だに抜け切れていない人が多い。日本は食品安全委員会という立派な組織を持っています。
そこから多くの情報が発信されています。
小学生にもわかるような内容で、農薬や食品添加物がどんな物であるか懇親丁寧に説明されています。読めば、あるいは見れば(DVDなど)わかる、という内容ばかりなので、そちらを見てもらった方が私が紹介するよりいいでしょう。
現在の農薬がどのようなもので、どのように検査して、どのように基準値が決められているか、天然の毒素、たとえば、唐辛子の辛味成分、ニコチン、カフェイン、食塩、医薬品のアスピリンなどと比べてどの程度の毒性の違いがあるのか、残留農薬として摂取する量はどの程度なのか、毒性の違いを見るのに、急性毒性、短期毒性、長期毒性、遺伝毒性、生殖毒性などの違いにも目を向け、これらの情報に接すれば、慣行栽培に使われている農薬と普段の生活で自ずと摂取している天然毒物のことを総合的に判断する能力が身につきます。
除草剤耐性や害虫抵抗性をもつ組換え野菜であれば、農薬の量が減らせる。
これらの組換えによって特に天然農薬の量が増えるわけではない。
種子は管理されているので、農家が自家採種しても翌年も同じ品種の作物ができるわけではない。
これは、種苗メーカが儲けるためでもありますが、安全性の観点からいっても重要なこと。組換え技術を使えば、天然農薬の量を従来の方法より効率よく減らすことができる。
これを使えば、より天然農薬の量が少なく、また、農薬使用量もより少なくできる品種への改良も可能。
栽培コストが安く、労働力も少なくて済み、消費者にとってもより安全で安い。
新たな選択肢として示された遺伝子組み換え。しかし農薬を恐れ天然信仰を持つ人は「人工的である」というだけで恐怖感を持ってしまう。
医薬品もハーブや漢方薬が良くて化学合成はダメだと考える人がいる。しかしハーブだって化学物質=毒物なのである。人工と天然の差は人間が目的を持ってコントロールしたかどうか、それだけだ。
15才と17才の少年が腹痛と嘔吐で救急外来に来た。1カプセルあたり200 mgのカフェインを含むとされるハーブ錠剤5及び3錠を飲んだための急性カフェイン中毒と診断された。カプセルからは700 mg以上のカフェインが検出されている。
カフェインを多量に含むハーブを沢山摂取すればカフェイン中毒になる。当然である。
65才日本人男性の症例。2-3ヶ月間毎日約100-200gのピーナッツとビール750-1000mLを摂っていて腎不全になった。高血圧の既往症がありACE阻害剤を処方されていた。腎生検でシュウ酸結晶があり肉芽腫を伴う間質性腎炎と診断された。ピーナッツの食べ過ぎが原因として強く疑われた。
ピーナッツごときでも場合によっては害になる。こういったものはケースバイケースで自分の身体と相談するしかない。
天然を売り物にした何かに本当に効果があるかどうかも気をつけるべき。効果が無いだけならまだしも、メリット以上のリスクがあるかもしれない。
個々に処方されたハーブ医薬品は効果より有害作用が多いかもしれない、と6紙が報道した(2007年10月4日)。新聞報道は比較的正確であったが、この研究では有害影響の可能性については評価対象ではない。
・ 6紙が個人に処方されたハーブ医薬品が有効であるという根拠はほとんど無く、他の医薬品と相互作用したり有害作用を示したりするかもしれないと報道した。
・この新聞報道はPostgraduate Medical Journalに発表された系統的レビューとエディトリアルに基づくものである。このレビューでは個人に処方されたハーブ治療薬に効果があるという説得力のある根拠はないと結論している。 また副作用の可能性があるため薦められないとしている。
逆に害のないものが注目され警戒されるケースもある。日本食ブームのせいかイギリスでヒジキに含まれるヒ素が問題とされたことがあった。
問題となっている毒性物質はヒ素である。ヒ素は、急性毒性、発がん性などの毒性を持つことが知られているが、海藻に含まれるヒ素は一般には、有機ヒ素である。ヒジキにも大量の有機ヒ素が含まれているのだが、他の海藻と違って微量の無機ヒ素もあるというのが、英国食品規格庁の指摘。
C先生:最近、英国からのデータで日本ではあたり前の食品に毒性があるという指摘が多い。キンメとメカジキの場合も、元となるデータは、英国だった。
A君:ヒジキなどというマイナーな食品も分析するというところがすごい。余程仕事がないのでは。
B君:日本食が急速に普及してくると、それに対して一応の警戒心を持たせるというポリシーなのかもしれない。
まぁ新たな食品の登場に伴い警戒すること自体は正しいと思う。食文化が違うのだから、思わぬ害が出ないとも限らない。
A君:ヒジキのようなマイナーな食品について英国が調査しているのは意外ですね。
B君:ヒジキの英語がhijikiであることを始めて知った。
C先生:それには、いろいろと背景がある。ひとつは最近の健康食品ブーム。この食品が良いと信じると、そればかり食べる人がいる。そのため、食品に対する警告をきっちりと出さないと駄目だという状況がある。外国についていえば、日本食がかなり普及し、これまで食べたことのないような食材を食べる状況が出てきている。例えば、豆腐や豆乳。日本人にとっては全く問題のない食品でも、欧米人にとっては、女性ホルモン様物質を含むので、問題だと指摘する人もいる。まあ、日本食に対して警戒警報を出すという意図もあるのかもしれないが。
A君:健康食品の正しい食べ方は、健康食品だと思わないで食べること。すなわち、通常の食品のように、多種多様の食品を摂ることに拘ることがコツ。
B君:それが真実なんだが、それだと、健康食品メディアは職を失う。
特定の食品が売り場から消えるようなブームが健康を損なうってことですな。
A君:まあ妥当のようにも思えますが。特に、ヒジキによるヒ素中毒の実例は無いというところが重要で、実際、ヒ素のようなどこにでもある物質が原因で妙なことが起きていれば、なんらかの症状が見られるのが普通ですから。
B君:そうだろう。「ヒジキ以外にヒ素を含む食品はありますか」、への回答として、水を上げるべきではないか。
A君:水道水のヒ素濃度基準が0.01mg/Lですからね。
B君:いやいや、水道水には問題は無いに等しい。もっとも、水道水の他の物質によるリスクはさらに低くて、水道水の最大のリスクはヒ素かもしれないのだが。問題は、むしろ、ミネラルウォータや温泉水。
B君:ミネラルウォータのヒ素の基準は、水道水の5倍甘い値で、0.05mg/L。特に、硬度の高い製品。すなわち、カルシウムやマグネシウムを含むから健康によいといってミネラルウォータを選ぶと、ヒ素量とカルシウム量は比例している場合が多いので注意が必要。
A君:一般に、外国製、特にヨーロッパ製の水は硬度が高いですね。エビアン、ビッテルなど。米国製のミネラルウォータは硬度が低いものが多いですが。日本製だと海洋深層水が硬度が極端に高い。
B君:昔の話になるが、当時の厚生省がおいしい水の基準というものを作ったことがあるが、エビアン、ビッテルは、硬度が高すぎてこの基準すら満たさない。海洋深層水などは、飲み水として全く不適当。下剤に近い。最近話題のコントレックスなどという水も同様だが。
A君:大体、飲料水で、カルシウムやミネラルを補うという発想がおかしい。
B君:そうそう、そういう意味では、ヒ素もミネラルの一種だ。
A君:ヒ素濃度の話に戻すと、バングラデシュなどで、地下水の飲用によるヒ素中毒患者が出ているが、その地下水の濃度が、0.1〜1mg/Lだとされています。となると、ミネラルウォータの倍ぐらいの濃度。
C先生:英国産のミネラルウォータはあまり聞いたことが無いが、ヨーロッパの水は硬度が高いので、飲料水からのヒ素摂取量が多いといえるだろう。日本は軟水が基本だから、昔からヒジキからヒ素を多少摂取して、ちょうど良い程度のヒ素量だったとも言えないか。ところで、ヒ素は必須元素なのか。
ミネラルウォーターは産地や成分に注意した方が良いです。日本なら水道水が一番無難。
A君:ミネラルというと健康によいと無条件で思う日本人が増えていますが、実際のところ、ヒ素も立派なミネラル。一般に、ミネラルと呼ばれる元素は、不足も駄目だが、過剰摂取も駄目。しかも、その範囲が比較的狭いのが現実。
C先生:ミネラルウォータを常用していないこと、温泉水などで調理をしていない人にとっては、ヒジキは少量摂取している限りでは、相変わらず有用な食品のように思える。ヒジキに限らないが、毎日同じものを食べることが許容されるのは、穀物類・牛乳・果物・ある種の野菜ぐらいなもの。それ以外の食品は、様々なものを組み合わせて食べることが重要。「あらゆる食品にこだわりを持たないことにこだわる」ことがいつでも正解。今回のヒジキについても同様の結論。毎日、ヒジキを食べるのは馬鹿げている。
B君:食物といっても、所詮、他の生物ですからね。他の生物は、ヒトのために存在している訳ではない。
結局ヒジキのヒ素が問題になる程大量のヒジキを食べるということが問題。
量を無視して怖がっても仕方がありません。コーラなどの清涼飲料は成分表示に「安息香酸Na」と書かれていますが、これを問題視してコーラは毒だと主張する人がいます。まぁ何でも毒なんですけど、どのぐらいで死ぬのかってことが問題です。
「安息香酸ナトリウム」を保存料で飲料に入れる目的は、「安息香酸」の抗菌作
用を得るためです。ところが「安息香酸」そのものは水になかなか溶けないので
、水に溶けやすく、酸性液中でナトリウムイオンを分離して安息香酸に変化する
「安息香酸ナトリウム(Na)」を使います。
つまり、材料としては「安息香酸ナトリウム」ですが、酸性液中に溶かした状態
では「安息香酸」として存在し機能します。
比較的毒性の低い保存料としては安価で動物実験的にも実績があるため、その酸
性液内で分離する性質を利用して、酸性を呈する飲料(炭酸飲料や果汁飲料)を
中心に「安息香酸ナトリウム」は広く使われています。「安息香酸」及び「安息香酸ナトリウム」はもともと自然界に存在する物質で、
自然界の動植物にも微量に存在し、通常の食事でも体内に取り込まれます。
ですから、自然界に生きている人間を含めた動物も、その安息香酸を体内で無毒
化して排出する機能を長い進化の間で備えてきました。ちなみにラット試験で、
ラットの半数が死ぬ量(=LD50値)は体重1kg当り約2000mgです。
乱暴な言い方をすれば、体重60kgの健康な人間だったら120g(350mlドクターペ
ッパーの缶1/3の量に相当)の安息香酸を一度に飲むと死ぬ確率が50%になる、と
言い換えることができます。化学メーカーのサイトの情報によれば、清涼飲料水に対する使用量は、安息香酸
として0.60g/kg(安息香酸ナトリウムとして0.70g/kg)ですので、350ml ドクタ
ーペッパー缶に対して最大で 0.21gまで安息香酸が含まれている可能性がありま
す。(炭酸飲料は、炭酸そのものが殺菌作用があるため、そんなに多くは入れな
いと思いますが)すなわち、ドクターペッパー350mg缶を一度に1,667本位飲めば、あなたが安息香
酸のせいで死んじゃう確率が50%となります。なお、喘息持ちやジンマシン体質の人は、少量でも安息香酸及び安息香酸ナトリ
ウムに反応して喘息やジンマシンを起こす可能性はあるそうです。
いくらコーク大好きのアメリカンでも一日で1000本以上の消費とかありえないでしょう。半数致死量で1667本ですから1000本でも半分死なないわけですか。じゃあ100本では?毒性が表れるということは処理能力を超えているということですから、許容量を超えると急激に危険が増すでしょう。一定の量を下回ると危険性は激減すると思います。その量がどのぐらいかは知りませんが。
また、安息香酸ナトリウムとビタミンCを元に生じるベンゼンの発ガン性を問題にする人もいます。基準を超えたものが見つかって調査が行われたこともありました。
2006年初頭、米国における独立した検査でWHOの飲料水ガイドライン10 ppbの2-5倍のベンゼンが検出された。このニュースは国際的に関心を呼び、英国・ドイツ・韓国が調査を行った。こうした国際的関心と、ソフトドリンク中から低濃度のベンゼンが検出されたことからFSANZはオーストラリアの非アルコール飲料について調査を行った。
ベンゼンはアスコルビン酸(ビタミンC)と安息香酸ナトリウムの両方を含む飲料中に極微量生じる。安息香酸ナトリウム(添加物番号211)は食品の微生物学的安全性確保のために多くの食品に使用される認可された食品保存料である。アスコルビン酸(添加物番号300)も認可された食品添加物(抗酸化剤)で天然にも果物やジュースに含まれる。アスコルビン酸は水中で銅や鉄などの金属と反応してヒドロキシルラジカルを生じ、これが安息香酸と反応して低濃度のベンゼンを生じる。
68検体中38検体から微量のベンゼンが検出された。検出された濃度は1-40 ppbであった。調査した検体の90%以上はWHOの飲料水ベンゼンガイドライン(10 ppb)以下であった。
ベンゼンは環境中に広く存在する。ほとんどの人は日常的に室外や労働環境で微量のベンゼンに暴露されている。一般人のベンゼン暴露は主に車の排気ガスを含む空気を吸うことや喫煙及び受動喫煙でからである。空気からのベンゼン暴露の主な原因は煙草の煙・自動車の給油所・車の排気ガス(ほとんどのガソリンは1-2%のベンゼンを含む)・産業排出である。ベンゼンを含む製品(糊・塗料・家具ワックス・洗剤)からの蒸気によるものもある。非喫煙者の場合ほとんどの暴露はドライブや給油などの車関連である。
飲料からのベンゼン暴露は総ベンゼン暴露量への寄与率は小さく健康上のリスクは非常に小さい。英国FSAは都市部の空気から呼吸で一日に摂取する量のベンゼンを飲料から摂取するには10 ppbのベンゼンを含む飲料を20L以上飲まなければならないと述べている。
これも結局量がわずかですから、飲み物なんかより排気ガスの方がよっぽど問題というわけですね。
口紅の鉛なんてのもあります。口紅は飲食の際身体に入るかもしれないし、それ以外の化粧品も肌に触れるので化粧品全般に対して安全は強く意識されるでしょう。
FDAによれば口紅に鉛が含まれるという主張は時々雑誌やインターネットなどで話題になる。FDAの分析によればそうした事実は一般的に確認されていない。
「消費者は飲食や呼吸により毎日鉛を摂取している。化粧品由来の鉛は飲食や呼吸による摂取量の1/1000以下である」とトイレ化粧品・香料工業協会の責任者John Baileyは述べている。
鉛のPTWIは 25 microg/kg
(つまり体重50kgなら1週間に1250 microg。鉛含量0.65ppmの口紅を1週間で1.92 kg食べないといけない?口紅1本 3-4gで、この報告で最も高濃度だったのはL’Oreal Colour Riche で値段は2-3000円くらい。3gで2000円の計算だと 640本 128万円なり。食べないけど、買えないけど。計算したくなる。 )
口紅を「食べる」のはやめた方が良さそうです。1日1本ぐらいなら平気?
量の情報がないニュースは意味がない。もともとプレスリリースにあった数値情報を通信社は何故削るんだろう?
ニュースの読者が気にしてないから、だろうなぁ。
安全意識といえば食育ってありますよね。未来ある子供たちに安全な食べ物を!みたいな。目指してることは正しいけど、酷い話も多いみたいです。
さすが911にはまり支持者にナノゼリーを勧める瀬戸弘幸の所属政党だけはある。
こんなところでも顔を出すとは、伊達にお笑い政党をやってないな。
食育の冊子を作ってる会社が新風関係だったということなんですが・・・
いやもう何を言ったものやら。なんで新風が出てくるかというと、
そもそもこのマクロビオティックは石塚左玄という陸軍医が考え出し、桜沢如一が発展させた(国家)神道の影響がうかがえる食事療法なのだ。例えば食物を陰と陽なんかに分けて考えるところとか。
グンクツの音が聞こえてきそうです。
まぁでもそんな人ばっかりじゃないと思います。右だろうが左だろうが健康は大事ですから。
さてこの手の栄養管理では砂糖が目の敵にされたりしがちです。糖分の摂り過ぎでキレるとか。でも朝ごはん抜きで血糖値が低くてもキレるらしいしどっちなの?おなか減ってるとイライラするっていう人はいると思いますけど。
食育関連で同業者(栄養士業界)の話を扱う予定ですが、その前にちょっと押さえておきたいことが、低血糖問題です。
砂糖でキレる、清涼飲料水でキレるとも言い切れない。だいたい、キレるの定義も明確じゃない。
低血糖症が疑似科学であると言っているのではなくて、砂糖(朝食抜き)→低血糖→キレる
これが疑似科学であると言いたい。
現時点ではこの主張は無理があるということ。
舌や胃から糖質が問題になる量吸収される事は無いと思います。
また、清涼飲料水にはグルコースだけのものはほとんど無く、ショ糖や果糖ブドウ糖液糖などが用いられています。この場合、半分ないし半分以上は血糖上昇効果の少ないフルクトースですので、血糖上昇効果はグルコースやデンプンに比べて少ないはずです。
お粥やおせんべいの方がはっきり言って危険ですね。
はっきり否定・肯定ではなくて、「低血糖問題」は良くわかんないですねというお話。
この方はちゃんと考えていて食育の問題を扱うカテゴリーがあります。
ざっくりと食育の歴史。
19896年 石塚左玄 「化学的食養長寿論」出版
1905年 村井弦斎 「食道楽」出版
1907年 石塚佐玄 食養会を創立 内務省が関わっており、有名人が多数参加したという。
1977年 アメリカにおいてマクガバン報告が行われる。
2000年 健康日本21開始される。マクガバンレポートの影響を受けていると担当者語る。一般知名度は無い。
2005年 食育基本法成立
こちらは真面目な栄養士が変なものに惑わされているという話。
この業界の人にはニセ科学という概念があまり浸透していないのかも。だから、ヘンテコ栄養学、トンデモ食育が蔓延っていても栄養士側からの批判はあまり見つかりませんし、聞こえてくることもあまりないようです。
みんながみんなそうじゃないけど、そう思うけど・・・
ググってみても同業者批判や栄養士による食育批判はあまりお目にかかれません。
マクロビにはまった栄養士さんも正義感が強くてナイーブな人が多いような気がします。ちょっと悲しい話
マクロビ 管理栄養士 のキーワードでググってみましょう。
批判どころか逆にマクロビ管理栄養士が沢山ヒットすると思います。上の人たち
ここでは栄養士会で活躍している方や、本を出版されている方、有名大学の先生などの事です。
生真面目な人が多いという仮説が正しいとすれば、「上の人」が変な主張をした場合に被害は大きくなってしまいます。
善意の人が問題に気付かないで広めてしまうって「水伝」みたい。大変だなぁ。
栄養の計算というのも結構落とし穴があって知識を必要とするみたいです。キノコのタンパク質は多く見えるとかで、菜食主義者が喜びそうなのですが本当は違います。
食品成分表のタンパク質定量法はケルダール法という定量法を用いて算出しているのはご存じの通りです。(知らないって普通)この方法で食品に含まれる窒素量を計測するのですね。その数値に、食品毎に設定された窒素・タンパク質換算係数とかいうのを乗じて成分表に載っているタンパク質量になるわけです。
で、本題のきのこさんですが、その換算係数は6.25に設定されているのですが、これはキノコ用ではなく、その他の食品というカテゴリーの共通係数です。
そのため誤差が大きいことは容易に想像がつきます。
さらに、きのこにはタンパク質以外の含窒素化合物が豊富なのです。細胞壁の構成成分(だったけか?)のキチンの主要成分グルコサミン、核酸、遊離アミノ酸などです。
その割にタンパク質換算係数が大きいので、実際のタンパク質量よりも大きな数字が出ていると考えて良いでしょう。
また、きのこの消化吸収率は個人差が大きいと考えられますので、(どらねこが他人の糞便を観察しての印象でエビデンスレベルはゼロにちかいのですが)安定したタンパク質源として摂取することは危険と考えます。
キノコ用のタンパク質換算係数は無くて「その他」なんですね。しかも計測される窒素量にタンパク質以外のものが含まれる。
で実際の量を推定するとどんなもんかというと、
朝倉書店 キノコの科学 において、青柳はこのように述べている
キノコの総窒素の67%はタンパク性アミノ酸に帰属できるが、その他にキチン体、核酸体、アンモニアなどがかなりの比率で存在するからである。ケルダール窒素より直接タンパク質量を算出するよりもむしろ、アミノ酸残基量とケルダール窒素量の比を用いることが、確実で簡便なものと考えられる。仮にこれを正味の窒素たんぱく質換算係数ということにすると、平均で3.99という数字が導かれる。
要するに、4訂の成分表ではキノコにも6.25の換算係数を用いており、これは過大に見積もることになるため、今後は見直しが必要であるとして、その根拠を述べたのですね。
しかし、5訂においてもこの意見は採用されず、従来通りの6.25がそのまま採用されております。
仮に、この『正味の窒素たんぱく質換算係数』を採用したとすると食品標準成分表に示されているキノコのたんぱく質値は約64%になってしまいます。
うすひらたけのたんぱく質量を見ると、100g当たりで6.1gになっております。
菜食主義者の方達が喜びそうな成分値ですね。
でも、先ほどの係数を当てはめてみれば、3.9gという事になってしまいます。
これは大違いです。
食品標準成分表の6割程度になってしまいました。
考えてみれば当然ですが、食材になるものは成分を一定の配合になるようコントロールして生産しているわけではないですから、モノによって成分量が違うことになります。天然モノならなおさらですね。キノコに限らず成分表は目安でしかないわけです。
ところが目の前にある食材で計測してみたわけでもないのに、「目安」をそのまま当てはめてグラム単位で加減するというようなコトが起こるそうで。
キノコのたんぱく質含量を例に成分表の妥当性を検討を(そういうはなしだったの?)しましたが、これほど顕著でないにせよ、整合性から見ておかしな部分は多いのです。(生と乾燥物のミネラル比較で明らか)
成分表を利用する人は成分値には信頼性の比較的高い食材と、そうでない食材がある事を知っておいて欲しいと、どらねこは感じております。
成分表の策定時に話題になることの一つに、魚の雄雌の取り扱いがあります。
抱卵しているか、そうでないかで栄養成分の比に大きな違いが生じることは想像に難くありませんね。でも、そこまで考慮することは現実的ではないですよね。なんかおかしいなぁ、と感じるのは変に厳格な運営を強要してくる人たちなのですね。
献立の栄養計算を行うことは給食業界では当たり前ですが、上記に述べているように、この栄養計算結果は実際に体内に供給される量とは誤差のあるものなのです。
これは当然の事なのですが、なぜか厳しい数字あわせを行っていたりするんですね。
例えば、エネルギー制限○○キロカロリーなんていう厳しい制限の糖尿病食が食事療法の主流であったりします。(しかも根拠のあまりない食品交換表をつかって)
計算結果が正しいモノと信じて、10キロカロリーオーバーしちゃったとか、ちょっと足りなかった、○○10g追加しようとか・・・昔の笑い話(だと信じたい)で、キノコや海藻はノンカロリー食品だと栄養指導した専門家がいたという話がありましたが、自分の依るところの根拠がどのようなモノなのか知ろうと思わないと同じような過ちを犯してしまいます。
数字には気をつけないと机上の空論になってしまいますね。
切り干し大根はカルシウムが多いので牛乳などで補給しなくて済むという話もあったとか。
生の時のカルシウム含量と、生と干の水分量差から予測されたカルシウム含量は360mgであり、生の時の15.65倍。ネットで優勢な説にほぼ合致する。つまり、ネットで一般に流れている「切り干し大根は生の大根よりカルシウムがたくさん含まれている」という通説は、生から干になったときの水分含量の差だけで説明が付く。
そりゃ干からびたものを干す前と同じ重さになるまで量を増やしたんだから成分も増えますね。
最後にサプリメントの話を少し。
Aviram はマウスを使った実験で、イチジクに含まれる抗酸化物質に動脈硬化を防止する効果があることを立証しました。しかし、やはり抗酸化物質であるビタミンEでは、そのような効果が見られなかったとのことです。
この実験から Aviram は、単独の抗酸化物質では極めて限定されたケースにしか効果が無いのではないか、と推測しています。老化にも癌にも動脈硬化にも効くような万能の抗酸化物質などというものはおそらく存在しないのでしょう。癌にしても、前立腺癌にだけとか、あるいはストレス由来の胃癌だけとか、極めて限定された対象にのみ効果を発揮するのだと予想されます。ただし、一つの野菜には数十から数百種類もの微妙に異なる抗酸化物質が含まれているのが普通です。その多くはまだ特定されておらず、化学式も精製方もわかっていません。しかしそういった未知の抗酸化物質がそれぞれ異なる領域に作用することで、全体として健康にプラスに働いている、と考えられます。
精製されたビタミンAだけを摂取しても、物凄くニッチな癌だけは予防しているけれど、統計上は誤差のうち、ということなのでしょう。
メガビタミン療法とかありますけど、サプリメントなんてのは基本的に足りないものを補うから意味があるのであって、特定の成分に過度の期待を寄せても仕方ないです。
イチジクにしても複数の成分を同時に補給できるということに大きな意味があるんじゃないかなぁ。
まぁ過量摂取しなければ多少無駄に摂取しても意味が無いというだけで、足りないと思ったら使えばいい。
コラーゲンもまったく無意味ではないみたいです。
コラーゲン(ゼラチン)の分解物のペプチドが皮膚の傷の修復を助けるメカニズムが、京都府立大などのグループの研究で分かった。コラーゲンは「肌に良い」と言われながらもそのメカニズムは不明で疑問視する声もあったが、機能の一端が初めて確かめられた。近く発行される米国化学会の学術誌「食品と農芸化学誌」の2009年第2号に掲載される。
佐藤教授らは、人の実験で、ブタや魚のコラーゲンを食べると、コラーゲンに多いアミノ酸のヒドロキシプロリンとプロリンが結びついたペプチド(アミノ酸化合物)が血中に長時間にわたって増えることを突き止めた。
このペプチドの機能をマウスの皮膚細胞で調べたところ、ペプチドが再びコラーゲンになるのではなく、コラーゲンを作って傷を修復している皮膚の繊維芽細胞を傷の部分に呼び寄せるのを助けることが分かった。
傷の部分にくっついて目印になるんだろーか?