しぶとい911陰謀論

高校で陰謀論の講演・・・頼むから自分で調べて気付いてくれよ生徒達。

「このテーマは、なんと学校側からの指定」という部分は重要なので強調しておこう。
私は彼女のような「川を渡っちゃった」者よりも、その周囲でそれを誉めそやす人間のほうが、何倍も度し難いと考えている。
特にこんな風に教育者としての立場を利用して、生徒に陰謀論を布教するような輩はな。

陰謀論者を説得するのは多分不可能だからなぁ。なるべく隔離したり予防接種をするような対応しかないわけですねぇ。

確かに私立学校は教育内容の自由度が高いが、その分「何を教えるか」に対する評価はダイレクトに返ってくる。
きくちゆみへの対応を読むかぎりでは、どうも学校側がこの点をきちんと認識できているとは思いがたいのだが、「全校生徒に学校の肝いりで911陰謀論の講演を受けさせる高校」に対する社会的評価がどういうものなのかは、これから十分に理解することになるだろう。
「うちの学校では何を話してもいいですからね」と発言したらしい教師は、果たしてそのとき学校からかばってもらえるのかな?

大体学校で政治ネタっていうのがどうなのかねぇ。反戦だったら正しい内容とも限るまいに。

アメリカが9.11を戦争をはじめる格好の口実として利用したというのは事実だ。
私も当時アメリカの無軌道な戦争拡大を批判していた一人なので、Love&Peaceな人達が「もし911がなければ戦争は起こらなかった」とばかりに911陰謀論に飛びつきたくなる気持ちはわからないでもない。
しかし、それこそが罠なのだ。
911は実際にアルカイダのテロだし、WTC崩壊の原因は飛行機の衝突だ。
陰謀論に飛びつくのは、むしろ反戦運動の足を引っ張る行動である。

無様なウソに時間費やしても敵が得するだけってか。

タイッビの理屈は陰謀論の原理的な否定ではない(それは不可能だ)が、普通の人間にとってはこれで十分のはずだ。他方で「科学的」検証の方向だってあるが、素人はもちろんのこと、物理学者らにとっても片手間で扱えるような内容ではない。陰謀論者はこの点を理解していないように思う。

ブッシュを説得するくだりとかかなり愉快だなこれw
後これ、すごいです。爆破説なんか目じゃありません。

911テロの現場における名も無きヒーローは、一転して、911陰謀論を唱える人たちのヒーロー、「政府の圧力を撥ね退けて勇気ある告発をした、初の911犠牲者」となったのである。

ということで陰謀論者のヒーローになったロドリゲスの証言が正しいか検証するわけなんですが。

絵を見てわかるとおり、ほぼビルの中心に水平に突入したアメリカン航空11便は、中心部にあるエレベーターシャフトを直撃し穴を開けた。これが、WTC1においてその後次々と起こる、エレベーター関連の悲劇を引き起こす。

これがWTC1の大きな被害に繋がった。鍵はエレベーターシャフトという縦穴の存在。

ジェット機が突入するということは、ジェット燃料のタンクが突入するということだ。タンクが壊れ拡散した燃料は、フロア中に充満する。そのうち15%が室内で爆発(これがCarmenが見た一度目の炎と思われる)、15%が屋外で爆発する。

ところが、50%以上の燃料は、火がつかずに、あるものは気化し、あるいは液状のまま、爆圧によって拡散していったのである。とりわけ、フロアからの唯一の逃げ道・・・エレベーターシャフトに。

空気と混合したジェット燃料に火がつくとどうなるか。我々日本人は、渋谷温泉スパ施設の爆発事故でその恐ろしさを目の当たりにした。建物のコンクリートを粉砕し、鉄骨をむき出しにさせ、半径75メートル以上に破片を撒き散らし通行人に重症を負わせたあの爆発は、金沢工業大学露本准教授の試算によると、わずか27立方メートル(+−1桁)のメタンガスによって引き起こされたという。

ロケット科学者R.Mackeyの(大まかな)試算によると、WTC1の地下全体を爆破するのに必要なジェット燃料は、375リットル。これは被害の実体に比較するとかなり「過大」な見積であるが、それでも375リットルにすぎない。

NISTの推定によると、ジェット機突入によってばら撒かれたジェット燃料は10000ガロン、約38000リットル。そのうち半分が燃焼せずに拡散し、その一部が新鮮な空気・・・とりわけエレベーターシャフトとシャフトを通じた階下の空気と混合し、爆発に至った。

100倍ですよ100倍。凄まじい破壊力だろうな。

貨物用エレベーターは、その性格上、全ての階に停止しなければならない。地下6階から108階まで、全てに通じている50番エレベーターがそうだ。

引火したジェット燃料は、この貨物用エレベーターの中を、78階を超え、44階も超え、下に突き進んだ(6番7番エレベーターについては不明)。その時の様子を、1階近くのロビーにいた警備員、Brian Reevesが語る。

気化した燃料が建物を縦に貫いていたと・・・

実は、WTCで採用されていたOTIS社のエレベーターには問題がある。本来、エレベーターはケーブルが切れても緊急ブレーキによりゆっくりと停止し、搭乗者を保護しなければならない。しかし、上記の通りWTC1の貨物エレベーターは衝突に近い形で停止している。

いや、欠陥というのは言い過ぎかもしれない。というのは、ジョット機突入時にエレベーターシャフトを付き抜けた爆風の威力はすさまじいものだったからだ。私はWTC2へのジェット機突入時、ジェット機突入箇所から30〜40階下のエレベータードアの前にいたが、エレベーターシャフトを下ってきた爆風であの分厚いエレベータードアに穴が開き、そこから噴出した爆風で吹き飛ばされたからだ。エレベーターのブレーキが効かなかったのも、当然かもしれない。

Arturoは膝と脛の骨を骨折。Cruzの傷は不明だが、助け出された後40分間も自分で動くことができず、インタビューも寝たきりで受けている。これは、エレベーターが搭乗者を骨折させるほどの衝撃を伴い停止していることを物語っている。

さらに、落下した貨物エレベーターは、ジェット燃料をピストンのように地下まで吸い出す役割を果たしたのかもしれないと、R.Mackeyは推測する。

吹き飛ばされた後自重でそのまま落ちていったのかな。燃料を吸い込んでいくエレベーターシャフト・・・

ロドリゲスが聞いた1発目の爆発音は、落下した貨物エレベーターが地下で起こした爆発音であった。

その証拠に、貨物用エレベーターから離れた場所にいた人間は、1回目の爆発音を聞いていない。(前出のEdward McCabe、Salvatore Giambanco、Mike Pecoraro)2回の爆発音を聞いているのは、貨物エレベーター周辺にいた人物と、貨物エレベーターの近くのオフィスにいたロドリゲスたちだけである。

そして2発目の爆発は、貨物用エレベーターを下ってきたジェット燃料と、その炎が起こした爆発であった。ここまで取り上げてきた全ての証言を正しくつなげる説明は、これしかない。

間違っているのはロドリゲスただ1人の解釈なのである。そしてこのことは、地下での目撃証言、2回の爆発音が、制御解体説も政府の陰謀も関係のない、ジェット機突入に伴う悲劇以外の何物でもないことも意味する。

地下から爆発音が聞こえても当然だったわけです。建物全体が大きなダメージを受けたのも納得できる。むしろ同じ規模の破壊を爆弾で行うのは困難なのでは。
で、陰謀論者のヒーローはどうしてるかというと。

欧州ツアーもやった。イランにも行った。反米意識が強いマレーシアでは、政府要人にも会った。ラティーノ反米のシンボル、チャベス大統領とはスペイン語で会話だ。政府から命を狙われているにしては、派手な活動ですな。

WTCの階段の清掃をしていた、6年前とは大違いの華やかな生活だ。結婚もしたそうだ。お相手はエクアドルの女性記者で、彼女も911陰謀論を追及しているそうな。


なるほど、2005年に、自らの体験を詐話しはじめた理由がわかった気がする。今、嘘をついていることを認めてしまったら、この華やかな生活は消えてしまうのだ。奥さんも、逃げてしまうかも知れない。

911テロの後、彼のようにWTCに働いていた人は、悲惨な状況に置かれている。あのB1で火傷を負ったFelipe Davidは、満足な補償も受けられず、働けなくなった一家の大黒柱にかわり妻が家計を支えている。

ロドリゲス自身もレイオフされ、家賃や自動車代にも事欠く生活に追い込まれてしまった。間違いなく911のヒーローであった彼に対して、アメリカという国はあまりにも冷たかったのだ。

そう考えると何となく、彼を非難する気にもなれないのだ。あんな、不幸しか生み出さなかった911テロが、少なくとも1人の男を、幸せにしたのかと思うと。たとえそれが、金を出してくれる陰謀論者達に媚び、嘘をつくことによって築いた幸せだったとしても。アメリカ政府は、その金さえ出してくれなかったのだ。

アメリカって時々とても残酷な顔を見せるよなぁ。
ロドリゲスはもう後には引けないんですね。真実と引き換えに手にするものはあまりにちっぽけで。正直者はもうすでにバカを見ているのに、その仲間になるなんて誰でもイヤでしょう。自分でウソを信じ続けるしか無いな。