水伝を広めちゃったアレの続き

まずこういう懸念が広がっていた。

たまたまこの組織の事務局に軽率で不見識な人間がいて、たまたま今頃になって火中の栗を拾う形になった、そんなところが真相だろう。しかし、偶然を必然と読み替えたがる類の輩は何処にでもいるし、それは大方の人が思っているよりよほど多いのである。

リンク先を読んでもらえばわかるが、女性校長というものに対する警戒を招く懸念がある。それも保護者の間にである。それは深刻な事態と言わなければならない。

ニセ科学は呪術の一種であるとか、オタクの恋愛思考は〜という理由によりダメであるといった、一見すると論理的な思考は、「そんな与太話信じるとかww馬鹿すぎるww」とか「オタクがリアル彼女欲しいとかキメェんだよ」といった瞬間的でネガティブな感情を外部に発露するための"理由付け" でしかない。従って、その言説には建設性が欠落することになる。

きっと「だから女は」式の罵詈雑言を交えつつ「事実」として広まってしまうだろう。
一方ではなんとかして事実を伝えながら教師も守りたいと考える人たちがいる。

水伝がニセ科学である旨、件の校長には伝わったようです。こちら。
 これをきっかけにして、校長会に限らず、現場の教師たちが自ら深く多面的に考えられるようになるといいのですが。

 私の狭い範囲の経験ですが、教師って、ウソを教えてはいけないということはとても強く思っているんですよね。だから、逆に「これはウソかもしれない」と思わなかったら、調べないのは当然なわけです。じっくり考えれば、「ん?ヤバいかもしれん」と気づくかもしれないけど、色んなものに追われていれば、表面的な結論(いい言葉を使いましょう、みたいな)に飛びつき、深く考える前にそれをどう使って話を組み立てるかという発想にどうしてもなる。

 基本的には、子どものためになる教育を皆さんしたいと思っているわけですから、いい方法って必ずあると思うんですよね。でも、それが何かはわからない。とても難しい問題。「ニセ科学と教育」という視点で考えると、本質的な問題の一つなんでしょうね、きっと。

正しい目的で間違った方法って悲しいよなぁ。善意をザルですくってざばざばこぼしてるみたいな。道具の選択が間違ってることをどうすれば防げるのか。
こういった方が頑張るしかないんですかね。

私自身は基本的には物理屋です。宇宙物理(天文学)の理論をやっています。一方、トンデモ系の話も好きで、昔から色々読んでもいました(もちろん、批判的に、です)。

2006年に、7年にわたるポスドク生活をようやく終え、ここ長崎大学教育学部で拾っていただきました。それまで過ごした理学系の学部・研究所とは勝手も違い、また、いわゆる「雑用」でとても忙がしく、研究時間を確保するのもままなりませんが、教員養成に直接携わることになった以上は、「未来の教師」にニセ科学に対する耐性をきっちり持ってもらうようにすることが私の責務だとも考え、いろいろと取り組んでいます。

30分近くお話したでしょうか。かなりつっこんだ話もしました。江本氏を呼ぶことになった経緯についても簡単ですが教えていただきました(その話はここではしませんが)。電話をいただいた校長先生からは、御自分の人生経験に基づいた様々なお話を聞かせていただきました。学校での子どもたちのの実情についても、色々と教えていただきました。そして、保護者との良好な関係も構築し、地域社会における学校運営に腐心される姿がよく伝わってきました。大変感銘し、むしろ私の方が学ばされたと言っても過言ではないでしょう。お話を聞きながら、水などに頼らずとも、「ありがとう」と言うことの大切さは子どもたちに十分伝わるのではないか、と思いました。

焦点の「水伝」に関しても、私が送ったメールで様々な問題点があることに気付いたとおっしゃっており、話をする中で、ああ、これはちゃんと伝わったのだな、と思い、安心しました。

以上の話を通じて、私自身は、基本的に問題意識は十分伝わったと思っています。

その一方、なにか教育にまつわる事件が起きれば、メディアによるバッシングやそれに悪乗りしたとしか思えないまったく無関係の第三者による中傷など、校長をしていれば経験したり耳にしたりします。今回の件でも、どう対応したらいいのか相当悩まれており、下手に動けば学校ばかりか子どもたちにまで迷惑がかかるかもしれない、と危惧しておられるのも感じられました。そうであれば、まずは、私が経緯と問題点を、私なりの視点でまとめた方がよいだろう、と思って、このページを書いています。

私がわざわざこういうページまで作成したのは、ネット上で「ちょっと違うんじゃないか」という批判を散見するようになったから、というのが大きいです。たしかに江本氏を招いて講演会を開催したのは大問題ですが、だからと言って、現場を切って捨てていいということにはならない。話せばわかる(方もいる)ということをお伝えしたい。

当事者になっただけあって素晴らしい問題意識ですね。元々トンデモウォッチャーの専門家というのも心強い。
教師の現状についてはこれとか。

小学校の教師って全教科教えるから不得意な科目は助け合わないといかんのよね。大変だよなぁ。
それにしてもこれはすごい。

R先生「あー。昔から不思議だったんですけど、その“2”ってなんなんですか? H20とか……」

K村「……は?」

R先生「Hが水素でOが酸素なのはわかるんですけど、どこから2が出てくるんだよー、とか、中学時代から理解できなくて……」

H先生「5年の理科を教えてるんですけど、よくわからなくて……」

K村「へえ。どのへんですか?」

H先生「植物に種ができるあたりなんですけど。おしべとかめしべとか、花の部分の名前が、自分でもよく覚えられなくて……」

K村「あー……。がくとかやくとかですかね。子房と胚珠とか、私もよく取り違えていた記憶が」

H先生「はい……。あと、おしべとめしべって、どう違うんですか?」

苦手ってレベルじゃねーというか、理解できないまま放置して乗り切っちゃった人だなぁ。
それから行政はニセ科学に弱いっちゅうことで神戸市の浄水施設なんかも。

大体伝えればわかるみたいで良いことですね。
地道な活動をしていれば助けにもなるんでしょう。正しい情報が広まりますように。