無かったことに
ああ、女性は本当に「なかったことに」という情報処理が好きなんだなあ。
肌のシミを「なかったことに」。
浴びた紫外線の記憶を「なかったことに」。
食べたカロリーを「なかったことに」。
腹の脂肪を「なかったことに」。
元カレと作った大事な思い出を「なかったことに」。
忌まわしい過去を「なかったことに」。この「なかったことに」という売り文句は、男性向けの商品の宣伝ではあまり出てこない、ていうか皆無だ。
ハゲとか、歯槽膿漏とか、EDとか、男の汗臭さとか、借金とか、リストラとか、交通事故とか、「なかったことに」っていうふうには売られないでしょ。
この「なかったことに」という文句はいちおうマーケティングを通って選ばれている言葉だから、それなりの根拠はあるはずだ。
統計的に、女性は「なかったことに」という情報処理が腑に落ちるわけですよね。ぐっとくる、もっともらしく聞こえる、と。
なんだろうなこれ。
みのもんた風に言えば色々とリセットできる感覚なんだろうか。
どうもしたたかというか、この方が人生楽しく生きられるのかも知れないと思わないでも無いけども。だけど男って多分そういうの許されない生き物として繋がれてるんだよな、大体の場所では。
後は余計なこと突っ込むモヒカンがそばに控えてたら無かったことになんかできゃーしないということもあるのかな。華やかな世界の綺麗なウソというか。どう見たって若くは無いのに「いつまでも若いですね」みたいな。年齢に比して若い外見というのなら正しいことが多いんだろうけど、絶対若くは見えない、なんてことを口に出せるわけがなく。
男の場合「潔さ」という美意識があるので自分から「やはり若くは無い」と認めることが多いはず。