ポニョはやっぱり宮さんの映画
途中から見た。
押井さんも映画は妄想だって良く言ってるけど、宮さんの場合は自分でコンテどころか原画も描いちゃうからストレートに出るんだな。自分で出来るということは大きい。
押井さんは最終的にスタッフを説得することになるしスタッフの意見を大事にするが、宮さんはワンマンで全て自分のものにしてしまえる。性格も「理屈が自転車に乗ってる」と揶揄されたらしい押井さんに対して宮さんは直感的で、相手がどうだろうと思ったことをそのまま言ってる感じがする。
例えばコンテが進まなかった一日の終わりに「仕事も終わり。人生も終わり。」とか返答に困るようなことを言いっぱなしで扉の向こうへ行ってしまったりする。
そのせいか作品もなんだか一人で作ってるような印象を受ける。
で、ポニョなんだけども。
子供向けということで極力理屈を排して、セリフを使って理屈を語れば済むシーンもそうしないという意思が有って、絵にこだわり絵と動きで表現しようとした結果が「なんだか良くわからない映画」という評価になってしまったというのはもう散々言われた話。
しかし理屈で語れば済むのかといえば多分そうでもない。番組を見ていて思ったが、宮さんはハイジとかコナンの頃から子供向けのアニメで「強い意志があればなんでも出来る」という妄想、この現実とはかけ離れた夢の中のような、映画を作るもののリアリティのみが支配する超現実の世界を作ってきた・・・ような気がする。つまり「クララが立った!」から変わらないのだ。
じゃあその現実なんかクソ食らえの超現実空間でクライマックスに一体何を描いて見せたのかといえば、宮さん自身がずっと抱えていた母親への想い、病弱で*1おんぶもして貰えなかった自分が、映画という妄想の中で母親に抱きしめて貰うことだったようだ。なんたる孤独。
・・・ってさぁ、そんなものがね、
子供にウケるワケねーだろこの偏屈。
どうやらこの映画を本当に楽しめるのは宮さんぐらいの年になった老人のようですね。70手前ぐらいのアニメファンの方にはとてもオススメですので是非どうぞ。
でもちょっと見てみたいな。これぐらいの方が面白そうじゃね?