ブルームーン

2010年は月食の多い年で、元旦から1回目があったそうです。

また、日本の歴史上、元日に起こる月食は実は初めてと言えるのです。というのも、明治以前の暦は月の満ち欠けをもとにした太陰太陽暦でしたから、元日は必ず新月であり、満月になることはなく、原理的に月食は起こりません。また、現在の暦への改暦以降では、元日に月食が起こるのは、2010年が初めてになるからです。その意味で、珍しい月食といえるかもしれません。

暦の都合上、元日に満月がきたのは初めてなのだった。

ところで1日に満月がくると、同じ月にもう一回満月が巡ってくることもある。これもあんまり起こらないことです。珍しいので二度目の満月を見ると幸運になるなんて言われていたりする。その二度目の満月がブルームーンと呼ばれます。
自分はたまたまSIONの曲で知ってました。

一ヶ月の間に二度目の満月という意味でのブルームーンは3〜5年ぐらいに一度起きます。

本来、大気中の塵の影響により月が青く見えたことを「ブルームーン」と言っていたが、1946年に「Sky & Telescope」誌の誤解により、ひと月のうち2回目の満月を「ブルームーン」と呼ぶようになった。このとき、特に1回目の満月を「ファーストムーン」、2回目の満月を「ブルームーン」と呼ぶ場合がある。 「ブルームーン」は、断定は出来ないものの、3年ないし5年に1度の周期で起こる。満月になった瞬間、さらに見える地域に限定されるので、それぞれの場所、国によって「ブルームーン」だったり、そうでなかったりする。

ブルームーン」の言葉の由来については、チェコ語からの転化、フランス語を英語に翻訳したときに生じた等々諸説存在するが、これといった定説は存在せず、天文学用語にも存在しない。「ブルームーン」という言葉は天文の正式な用語ではなく、定義がはっきりしていない。辞書において「ひと月に2回満月があるときのこと」などという記述は見つからず、大抵の場合は「大気のちりの影響で青く見える月」と記載されている。また、月が青く見えるのはあまり頻繁には起こらないことから、「ブルームーン」は「めったに起こらないような珍しい出来事」の意味で、慣用句として使われることが多い。

とまぁ辞書にも載ってないそうで、あんまり一般的な言葉ではないかも知れません。
でもカクテルの名前になってたりします。

直訳の「青い月」という意味のほかに、「完全なる愛」「叶わぬ恋」「出来ない相談」という意味もある。「完全なる愛」については材料とされているバイオレットリキュールの商品名が「パルフェタムール(<仏>Parfait amour:完全なる愛)」であるため、そこから言われるようになったと思われるが、基本的には「出来ない相談」の方がよく使われる意味。女性なら、「あなたとお付き合いしたくありません」という意味を込めて、これを注文するのがスマートなお断りの方法とも言える。

「完全なる愛」と同時に「出来ない相談」ですか。そんなの注文して断るなんて詩的ですなぁ。
しかしSky & Telescope誌の誤解というのは一体なんでしょうか。Wikipediaからリンクされているこちらに詳細が載っていました。

 “ブルー・ムーン”という言葉にはもともと様々な意味がありましたが,1980年1月以降“その月2回目の満月”を指して呼ぶのが一般的になりました。

 英語でブルー・ムーンといえば,“極めてまれに”という意味の "once in a blue moon" という熟語がよく知られますが,この言葉の起源が“その月2回目の満月”が珍しいことであるという説明は間違いで,こちらはもっと古い言葉です。

 “ブルー・ムーン”という言葉は400年以上も前から使われていましたが,16世紀頃は“非常にばかげたこと”という意味で“月はグリーン・チーズでできている”のように使われました。この“ばかげている”という意味から,“月が青くなるなんてありえない”“決してない”(never)という意味が生まれます。

元々は「有り得ないこと」を意味していたんですね。しかし、月が本当に青く見える事態が発生しました。

 また大気中の塵の影響で月が本当に青く見えることがあり*,これもブルー・ムーンと呼ばれました。例えば1883年のインドネシアのクラカタウ火山の爆発は,その後約2年間,日没を緑に月を青に変えたといいます。このように,かなり稀でいつ起こるか分からないものの月が青く見えることがあるとわかり,19世紀半ばに "once in a blue moon" (めったにない)という熟語が生まれました。

この事態を受けて「有り得ないこと」から「滅多にないこと」に意味が変わったと。
「見ると幸せになれる」という言い伝えはもっと後の流行歌に起源があるようです。

 20世紀に入ると,今度は流行歌が“ブルー・ムーン”を悲しみや孤独の象徴に例えます。エルビス・プレスリーの"Blue Moon"(1934),ビル・モンローの"Blue Moon of Kentucky"(1944),エディ・アーノルドが歌う"When My Blue Moon Turns to Gold Again"(1944)などなど。このような歌のうち半分は,幸せが訪れる歌のラストで月は金色に変わるということです。

そして現代の「ブルームーン」という言葉を特徴付ける「二度目」の満月という意味が加わるのはさらに後。

 よく知られる“その月2回目の満月”という意味は,この後に現れました。
 この意味の由来を捜したカナダのニューファンランド州メモリアル大学の民話学者フィリップ・ヒスコックは,『メイン州農民年鑑』(Maine Farmers' Almanac)に載っていた“ブルー・ムーン”という言葉を米国の天文雑誌『Sky & Telescope』が1943年7月号のQ&Aコーナーで紹介し,さらに同誌は1946年3月号で“その月2回目の満月”という意味を加え,それを1980年1月に米国のラジオ局ナショナルパブリックラジオが Star Date という番組で広めたものであったことを突き止めました。

1946年のSky & Telescope誌によってそのように紹介され、1980年にラジオでも紹介されました。
しかしSky & Telescope誌は1999年に、同誌の記事による「二度目」の記述が誤りであることを確認し、間違いを広めてしまったことを認めました。というわけで「二度目」の起源は同誌にあるワケです。

 けれども『Sky & Telescope』誌は,続く1999年5月号の記事で,ヒスコックが1999年3月号で引用し紹介した『メイン州農民年鑑』1937年8月のブルームーンは21日であり,“その月2回目の満月”ではありえないことを指摘し,1819年〜1962年の計40冊以上の『メイン州農民年鑑』を検証しています。
 その結果,確認できた一番古いブルー・ムーンは1915年11月21日。ここで使われている“ブルームーン”は“その月2回目の満月”ではなく“1シーズンに4回の満月がある時の3回目の満月”であり,1946年3月号の同誌の記事が,間違った意味を広める原因になったことを認めています。

以下は間違いの経緯。

 『Sky & Telescope』誌の検証によると,『メイン州農民年鑑』が示すブルー・ムーンは全て,11月・5月・2月・8月の20日〜23日に起こっていました。
 これらの日付は,何れも北半球の冬至夏至春分秋分のおよそ1ヶ月前に相当します。

 今日私たちが使う1年は1月1日に始まって12月31日に終わり,また“太陽年”の定義は“太陽が春分点を出てから次に春分点に達するまでの期間=365.24219日”ですが,『メイン州農民年鑑』が採用していた太陽年では,1年は冬が始まる冬至から次の冬至が来るまででした。

こうして規定された太陽年にはほとんどの場合12回の満月があり,12回の満月は春夏秋冬それぞれに3回ずつ割り当てられます。これらの満月を,西洋では,例えば秋の Harvest Moon(収穫月)のように,その時節に相応しい名前をつけて呼んでいました。

 けれど月の朔望周期はおよそ29.5日で太陽年の1ヶ月と少しずれているため,時によって1太陽年は13回の満月を含み,通常は各々3つの満月を含む春夏秋冬の4つの季節のうち1つだけに,4回の満月が生じます。
 『メイン州農民年鑑』では,この4回の満月が起こる季節の3回目の満月を“ブルー・ムーン”と呼んでいたのです。

 では,どうして3番目の満月が特別だったのでしょうか?

 表で示したように冬(冬至)の最初の満月は Moon after Yule,次の満月は Wolf Moonで,最後の満月 Lenten Moonは必ずレントの期間内に起こらなければなりませんから,春分の約1ヶ月前にやってくる冬の3番目の満月は,もう一つの余分な月ということになります。

 こうして各季節3番目の満月を識別し,それをブルームーンと呼んだのが『メイン州農民年鑑』のブルームーンでした。

 結局のところ,何故4つの満月を持つ季節の3番目の月を“ブルー・ムーン”と呼ぶようになったのかは謎のままです。
 そして,間違いによって始まった“その月2回目の満月をブルームーンと呼ぶ”という意味も,独り立ちして歩み始めた今となっては,ブルー・ムーンの意味の一つになったと言ってよいでしょう。もちろん『メイン州農民年鑑』が語るブルー・ムーンや,実際に青っぽく見える月も,やっぱり同じように“ブルー・ムーン”です。

 いずれにしても,きっと“ブルー・ムーン”という言葉が持つ神秘的な響きが,人々を惹きつけてやまないのでしょう。

最後に「二度目」のブルームーンが見られる日付です。

2010年(平成22年)の(中央標準時で)満月の時刻は
01月01日(金) 04:13
01月30日(土) 15:18 (ブルームーン)
(2月は満月なし)
03月01日(月) 01:38
03月30日(火) 11:25 (ブルームーン)

今年は二回もあるんですね。