水素水と活性水素の混同

なんか微妙な状況。

 ところが、最近になって、太田教授が水素水の研究をし始めたきっかけは、株式会社ブルーマーキュリー側からの働きかけだったということを教えてもらった。また、nature medicineの論文掲載の後、ブルーマーキュリー主宰で、東京・経団連会館で記念講演会が開かれ、NHKのニュースの動画をDVDで配ったり、新聞記事を引用して講演したりということをしていたとのことである。
 つまり、太田教授の製品化するという判断が拙速だったのではなくて、もともと、製品化したくて仕方のない企業から持ちかけられた研究だったということのようである。
 なお、この研究から発表への流れについても何ら問題はない。きっかけが企業から持ち込まれたテーマだという研究はいくらでもあるし、論文掲載という通常の科学の成果発表の手順を踏んでから一般に講演している。

 この結果、
(1)これまで活性水素を謳っていた人達(ジャンルを問わず、例えば磁気処理水まで含まれる)が、太田教授の成果を都合の良いようにくっつけて宣伝する。
(2)太田教授とは関係のないところで水素水販売が行われ、これまで通りの抗酸化云々に加えて、太田教授の成果まで勝手に継ぎ足して使われる。
(3)太田教授は効果効能を謳わずに水素水販売をさせている。そこに気付いて同様のやり方で販売する会社もある。
といったことが起きている。
 太田教授としては、「水素水」を売っているのに「活性水素」と混同されて迷惑しているらしい。しかし、既にデマが飛び交って大混乱中のところに、まだ十分な試験が終わる前から水素水を売ることを決めたのは太田教授なのだから、ある意味自業自得でもある。

 水素水の現状については、太田教授がきちんと監督しているという前提が成り立っている限りにおいて、ブルーマーキュリーの宣伝をチェックすればわかることになる。ブルーマーキュリーが効果効能を出していないということは、効果効能を謳ってよい状態まで研究が到達していないということを意味する。太田教授の研究が確かなものであっても、効果効能を主張できるような製品に結びつける道はまだ遠いと考えるのが正しい。しかし、「水素を使った治療方法の研究をきちんとしている研究者が顧問をしている会社が水素水を売っている」というのを普通の人が見れば、効果効能を謳っていなくても,水素水は確かなのだろうと思ってしまうのではないだろうか。
 ところで、他の企業まで効果効能の宣伝を一切無しに水素水を売ることにした、というのは製造ラインを作って売ってもペイするというのが企業の判断ということになる。つまり、効果効能を謳わなくても現状では水素水が売れているということである。太田教授と関係無しに売っても何とかなるということなのだろう。買う人のうち、太田教授の話を知っている人もいるかもしれないが。じゃあ、何故売れるのか、と考えると、これまでに散々出回った「活性水素」「抗酸化」「体に良い」のニセ科学宣伝が引っ掛かる。「水素」というキーワードが既に「抗酸化」「体に良い」と結びついているから、効果効能を謳わなくても商売できるということではないか。

企業からの依頼で研究したということだけど、まっとうな企業がまっとうな研究をさせてまっとうな商品を売るなら全く問題ないわけですね。
ところがまっとうじゃない商品が沢山あって、それらと区別しにくいもんだから間違って売れてるという。
しかも片方が得するんじゃなくて、水素水は活性水素と間違われることで売れているし、活性水素は水素水と混同されて権威付けできちゃってる。ねじれてるなぁ。