霊感商法に加担した科学者が処分された

 処分を受けた准教授は現役の研究者で、専門は「聴覚・脳・言語」といったあたりのようです。

 こういう研究をしている北海道大学の電子科学研究所の准教授が、おそらく専門で得た知識を使って脳や心の話をしながら、霊感商法に荷担していたのだとしたら、諭旨解雇という処分は甘すぎると思います。

 大学がその存在の基盤としている科学を悪用したということであれば、それは大学の存在そのものを否定する大犯罪であり、社会に対してはもとより、そこで学ぶ学生、さらには科学界全体への背信となりますから、大学としてはもっとも重い処罰をするべきだったと思います。

脳研究してる人間が悪用したっていうならとんでもないヤツですね。

 審査結果通知書によると、「12/30から2週間の弁明の機会を付与する」とある。
 准教授はこれまで一貫して、「自分はサロンの運営に係わっていない。客を勧誘したこともない」と主張しており、今回もその主張を繰り返すなどして助命嘆願を願い出る可能性がある。

 2009年1月13日が弁明期間満了日となる。その日まで彼女の動向を注意深く観察する必要がある。
 大学当局が彼女の虚言による弁明を誤信し処分を撤回することのないよう、彼女が勧誘した客を特定し、証言を得る準備をしている。
 1月13日以降に最終結果が出るだろう。

どのような弁明がでますやら。
ただ大学がどこまでやるかというのは微妙な話もあるようで。

 霊感商法に荷担すればリスクがあるし、肩書きを悪用して勧誘したことが本当なら、最低でも民事的責任を負うのが当然だと思うが、疑問がいくつか。
 報道によれば大学の調査結果と本人の主張が真っ向から対立している。大学には、解雇の根拠を見つけるほどの調査能力があるのか?「関与を確認」といっても、「部屋は貸したが霊感商法とは知らず善意でサロンを運営していただけ、無料のボランティアのつもりだった」なのか「部屋を貸していたが有料で貸していて無届けの兼業にあたって問題」とか「霊感商法と知った上で部屋を貸して利益を得ていた」とか、関与の程度は様々だろうと思うのだが、今回のケースの事実関係はどうなっているのだろう。このままいけば解雇をめぐって紛争発生が予想されるが、そうなった場合の攻防戦がどうなるのだろう。

 私が何にひっかかっているかというと、極めてよろしくない結果を発生させたケースだという理由で、結論さえ合っていれば良いという考えのもとに無理な形で規則を適用して懲戒に持って行くと、後々副作用があるだろうということである。形式的な委員会を作って手続きを踏めば、気に入らない奴を解雇できる道を造ってしまう可能性があるということが気に掛かっている。誰でも証拠を確認できて、ブレのない条文の適用ができていれば問題無いのだけど。

 現に、私は2008年の夏前から、所属する学科ぐるみでハラスメントの加害者にでっち上げられる(でっち上げに使われた証拠書類一式は手元に押さえてある)という経験をすることになった。北大の准教授のケースで、内輪もめによる冤罪の可能性を一応は疑っておくのは、私の今置かれている立場からみればは当然である。

嫌な話ですが、何かしら敵対する理由がある人の場合、事件をでっち上げられるということも無いとは言えないと。その場合に加害者とされる人間の言い分も聞いた上で、確かなものだけ罰することができるかどうか、悪用されないのかという懸念があるわけですね。
それはそれとして肩書きの悪用については厳しい意見。

 霊感商法だけではなく、広く悪徳商法(インチキ健康食品の販売等も含む)の宣伝に肩書きを貸して荷担した「なんちゃって学者」には、消費者被害が発生した場合にどんどん賠償責任を負わせる方が、抑止力になると思う。もともと事実認定能力のない大学が頑張って調査するよりも、裁判所で決める方が話はすっきりするし、反論する側だって存分に攻撃防御ができるだろう。

 この件について考えていて、ふと思い出したのが公認会計士法マルチ商法の関係だったり。公認会計士の場合は公認会計士法24条に業務制限があるので、公認会計士の立場のままでクライアントをマルチ商法に誘ったりしたら引っ掛かることになる。大学教員にはこれに該当するものが無いが、顧客=学生、と読み替えるなら、ハラスメント等とは無関係に、勧誘一般に関する業務制限が明文であっても良さそうに思う。ただ、顧客以外、つまり学外の一般の人を勧誘したというケースにまでは網をかけられない。