インタビューの一部

企画書を娘に見せたら、「どういう話?」と身を乗り出してきた。その顔を見ていたら、この作品には何かあると強く感じた。そこで、行定勲監督の「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)や「春の雪」(05年)を手がけた伊藤ちひろさんという若い脚本家と会って、筋道を探り始めたんだ。打ち合わせで彼女と話しているうちに、この作品を若い人たちのために作ることができれば、映画になるんじゃないかと思った。

娘さんが重要な役割を果たしたんですねぇ。近くて遠い存在か・・・

まずは、人の話を聞けるようにならないと。相手を認めることなしに、自分を認めてもらうのは無理があると分かっていない。自分の主張だけしたいから、芸能人とか社長になりたがるんだよね。そういう意味では、僕だって、かつては今の若者と変わらなかったかもしれないけど、55歳になって、もう一度人生を生き直そうと思い始めている。それは、不幸になってもいいんだと思えるようになったことが大きい。だから、常に新しい人間関係を結んでいきたいし、空手で体も鍛え始めた。やっぱり、他人と関わるためには、自分の腹が出ていることを許しちゃいけないんだよ。冗談に聞こえるかもしれないけど、腹を引っ込めるということは、生きる自信に繋がるんだ(笑)。

最近身体に興味があるなんて頻繁に言ってた押井さんですが、空手ですか・・・
真顔で腰溜めに突きを繰り返す押井さん、気合一閃回し蹴りする押井さん・・・見たいw

この映画は、主人公のモノローグと共にクライマックスを迎えます。
 それでも……昨日と今日は違う 今日と明日も きっと違うだろう いつも通る道でも 違うところを踏んで歩くことが出来る  いつも通る道だからって 景色は同じじゃない それだけではいけないのか それだけのことだから いけないのか これが、この映画のテーマであり、若い人たちに伝えたいこと。
 たとえ、永遠に続く生を生きることになっても、昨日と今日は違う。木々のざわめきや、風のにおい、隣にいる誰かのぬくもり。ささやかだけれど、確かに感じる事の出来る事を信じて生きてゆく──。そうやって世界を見れば、僕らが生きているこの世界は、そう捨てたものじゃない。同じ日々の繰り返しでも、見える風景は違う。その事を大事にして、過酷な現代を生きてゆこう。
 僕はこの映画を通して、今を生きる若者達に、声高に叫ぶ空虚な正義や、紋切り型の励ましではなく、静かだけれど確かな「真実の希望」を伝えたいのです。

をををかっこええええ。なんだかゼンマインドが感じられまする。これは期待が広がる。

ああ、熱海に移ってからもう随分経つんですねぇ。イノセンスの時病気したんだったか。ガブに何かあったら仕事しなくなると恐れられていたようでしたが。誰がいなくなっても道は続いているようで。
ダニエルは元気なのかな。雑種だから丈夫だと思うが。エッセイでなにか高貴な血を感じるとか書いてなかったっけか押井さんw