タミフル疑惑

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高校生は軒端さんの長男で、2004年2月にA型インフルエンザと診断され、医師から処方されたタミフルを服用。直後に自宅から国道に飛び出し、大型トラックにひかれて死亡した。

 独立行政法人医薬品医療機器総合機構」は昨年7月、副作用被害救済制度に基づき「タミフルとは別の薬の副作用による自殺企図」と判定。軒端さんは不服として、厚労省に審査を申し立てた。

 軒端さんによると、不服申し立てに対する同省の決定は昨年12月27日付で「副作用被害救済制度で既に遺族一時金などが支給されており、判定による申し立て人の利益侵害はない」とした。

 軒端さんは「長男が自殺する理由はなく、副作用の原因がタミフルではないという根拠も不明」と話している。

タミフルの危険を訴えている方ですね。

女児は9歳だった昨年3月、近くの開業医を受診した。39度の発熱で風邪と診断されたが、家族の要望でタミフルや解熱剤などを処方された。
 その日の夜、女児はタミフルを服用した後に就寝したが、2、3時間後に目覚め、叫んで家の外へ飛び出そうとした。家族が体を押さえ、異常は5分ほどでおさまった。
 約1時間後に同小児病院を受診、久保田医長が診察したところ、意識は清明で、受け答えも正常だった。インフルエンザの迅速診断キットで検査したが、結果は陰性だった。さらに、のどの粘液と血液を採取し、東京都健康安全研究センターに検査を依頼したが、インフルエンザウイルスは検出されなかった。
 久保田医長によると、小児病院受診時の女児の体温は36.8度。異常行動から約1時間で熱が急に下がるとは考えにくく、原因が高熱だった可能性は薄いという。てんかん発作が原因とも考えられるが、1年後の今もてんかんの症状はなく、女児はてんかんではないとみられる。
 このため、久保田医長は「女児の異常行動は、タミフルの影響ではないか」と指摘する。一方で「タミフル発売前にインフルエンザで39度の熱を出し、2階から飛び降りた男子小学生も知っている。タミフルで起きる異常行動と、インフルエンザで起きる異常行動の両方があるのではないか。少なくとも、インフルエンザと診断されないのにタミフルを服用するのは避けてほしい」と話している。【高木昭午】

39度の発熱でタミフルや解熱剤を処方されたがインフルエンザウィルスは検出されなかった。2度目の受診時間と体温から考えて、一時間前に高熱だったとは考えにくい。

インフルエンザ14歳男子、タミフル服用せず飛び降り
 西日本で先週末、インフルエンザにかかった男子(14)が、自宅2階から飛び降り、足を骨折していたことがわかった。タミフルは服用していなかった。

 主治医によると、この男子は15日、38度の熱があり、翌日いったん熱が下がったものの、17日未明に自宅2階から飛び降りたとみられ、玄関先で倒れているところを発見された。

 病院搬送時に熱があり、検査でB型インフルエンザに感染していたことがわかった。男子は「夢の中で何かに追われ、飛び降りた」と話しているという。

インフルエンザに感染、タミフルは服用せず。病院搬送時熱あり。

報道に対する反応

記者はちゃんとインフルエンザや薬について調べているかってのも疑問だ。熱譫妄や脳症とか。

インフルエンザ脳症は、インフルエンザに伴う急性の意識障害と定義されます。

インフルエンザに罹患すると痙攣を伴いやすく、しばしば異常言動・異常行動も認められます。勿論、その他のHSES(出血性ショック脳症症候群)やライ症候群でもこれらの症状は認められますが、同様にインフルエンザ脳症の初期症状でもあることからその初期診断が重要となります。

つまり、異常行動はインフルエンザ脳症などの症状であって、タミフル服用の有無に左右されずに起こった可能性があるのです。

では、インフルエンザ脳症の発生機序は何なのかというと、それはまだ解明されていません。

但し、「高熱になったから起こる」や「インフルエンザウィルスが脳に侵入した」事は否定されています。(日本小児科学会雑誌101.1997)今現在では、インフルエンザ感染により炎症性サイトカインであるTNF-αや、インフルエンザウィルス若しくはインフルエンザウィルスの産生するNA(ノイラミニダーゼ)が血管内皮細胞障害を強く引き起こし、血小板凝集を促進させてインフルエンザ脳症を引き起こしている可能性が指摘されています。

もしNAが引きこしているなら、タミフルはNA阻害薬ですから、逆にインフルエンザ脳症を防ぐ薬という事になります。

熱じゃ無い・・・?ああ、脳症の原因は高熱じゃ無いって意味か。熱譫妄とは全く別の話だな。ウィルス性でも無いのか。ここでもサイトカインが出てきた。ウィルス由来のノイラミニダーゼも怪しいと。

やっぱり引っかかるよなぁ。インパクト強すぎだもの。

違う話なんだけど

こういうテクは、論理学に言う「説得的定義」に近いものです。名辞というものは、特定の所記(指し示されるもの)を指示する任意の能記(あるものを示す言葉)という関係性をもっていて、その関連性は恣意的であって中立であるとかなんとかよく覚えていませんが、そんな感じのことをヨーロッパのガクシャは言ってたっぽい記憶があるんですが、「説得的定義」というのはあるモノを示す「能記」が、すでにそれを認知する第三者に対してなんらかの意図を生じせしめるように誘導する意味を内包しているものです。説得的定義の効果を知らない人は、恣意的な呼び名をつけられてしまったまま反論もせず、その呼び名をつけた人の意図するところに巷間の通念を誘導されてしまうわけですね。

「薬害タミフル脳症被害者の会」って名前付けた時点でこういう意図を感じるのが嫌だ。

web上の議論

浜六郎

最後の表3を見ていてちょっと疑問に思ったのだけど、プラセボの方はどういう条件なんだろう?
タミフル使用はインフルエンザで高熱に違いないんだろうけど、同じように高熱出してる患者にプラセボ飲ませるのか?それとも「新薬承認情報集(製品概要:NAP)のデータから」ということはタミフル服用も健康体の実験データ?
どーも素人には難しい。

菊池さん

菊池さんが随分熱心に糾弾している。さらになにやら専門家同士で議論しています。

津田さんは副作用の可能性を肯定。ただ「横田報告書」は「研究デザインに難がある」と見ているようです。それでも十分だと。ベストではないが現状ではベターな情報ですか。

前後関係をある程度収めれば、もし、投薬による異常行動への影響がない場合は、1倍になるはずです。ですから、因果関係による影響がはっきりしていればいるほど、○倍という数字が大きくなるわけです。3倍とか4倍という数字は、結構はっきりしていて、この曖昧な研究デザインにおいてさえ(それだからこそ)因果関係による影響だと判断出来るに十分です。私が、それなりに納得したのはこのためです。タミフルの影響は、6時間以内に消えるとすれば、長い期間の平均を取れば取るほど薄まります。切れ味がなくなるといっても良いでしょう。で、きくち様は、タミフルの問題ではなく熱ではないかという解釈が出来るとのことですが、この研究はインフルエンザの熱がある患者が研究対象者ですので、熱という解釈は出来ないでしょう。できるとしたら、タミフルのみ、もしくは、熱+タミフルで異常行動が出ると考えるべきでしょう。いずれにしてもタミフルが決定要因となっています。

あー両方とも熱がある場合のデータなんだ・・・。タミフルの影響が6時間で消えるというのは血中濃度が下がるからかな?

んー。やっぱり難しい。

今日あたりの海外ニュースを見ていて思うのだが、日本でのタミフル副作用騒ぎについて、ある種日本人というラット実験のようにも見ているのだろう。また、日本は特殊だからなと見ているような印象も受ける。
 もう少し思うこともあるが、うまくまとまらないので、このエントリはここまでとしておきたい。

古い記事なんですが。日本は注目されていると。

(1)インフルエンザにかかった人すべてにすみやかにタミフルを処方することは皆にとって良いこと。それができるシステムが整っている日本の医療の方が優れている。

(2)タミフルは本来ならば体の弱っている老人とか子供がインフルエンザにかかった時にだけ処方すべき薬。しかし、一日でも会社を休みたくない患者からの要求と、保険の点数制度上のインセンティブの働きで、本来ならばタミフルが必要でない人にまで処方してしまっている。

 なにごともそうであるように、どちらか一方だけが真実、という話ではないとは思う。(1)の方は「見解の相違」ですませる話だが(私は、風邪もインフルエンザも出来るだけ自然治癒させるべきと考えているが、私と異なる考えを持つお医者さんがいるのも理解できる)、(2)の方は「診療報酬体系の欠陥」を示しており、このまま放置しては良くないように私には思える。

というわけでリンク先。

少なくとも、日本の(というか、僕は海外の病院で働いたことはないので、日本のことしかわからないんですけど)患者さんの中には、まだ「病院に行ったのに注射もしてくれない」「薬も出してくれない」という人がけっこう多いのです。正直、僕たちだって、患者さんの状態によっては、【「何しに来たの?ゆっくり寝てなさい」と追いかえされてしまう】というような対応をしても良いのではないかと考えることはありますし、本当に「客観的な症状がない」場合には、説明だけで帰っていただくこともあるのです。確かに、元来健康な若者〜中年くらいの患者さんが風邪や通常のインフルエンザで受診された際には、別に抗生物質タミフルを使わなくても、家でゆっくり休養していれば、そのうち良くなる人がほとんどです。ところが、多くのそのような「抗生剤もタミフルも必要ではない患者さん」が、「会社や学校を休めない」「1日でも早く治さなければならない」「症状がきつい」ということで、病院を受診されるのです。そこでもし僕が「いや、タミフルっていうのは日本以外の国では……」と患者さんを説得しようとしたらどうなるかというと、結果は実に簡単です。その患者さんは、二度と僕がいる病院に来なくなり、「あそこの病院に行ったら、薬も出してくれずに説教された」と悪い評判が広まり、その患者さんは、「ゴチャゴチャ言わずに、タミフルをさっさと処方してくれる病院」で、お目当ての薬をもらうだけのことなのです。

 本当は、医者たちがみんな申し合わせて、「タミフルを使いすぎないようにしよう」という取り決めができればいいのですが、経営という面では病院同士もある種の「ライバル」ではありますし、そもそも、患者さんが「簡単にタミフルを出してくれる病院」を選ぶかぎり、「タミフルの処方はデメリットが多い」という明らかな根拠が示されなければ、こういう状態は続いていくのでしょう。現場ではみんな、「迷い」があるのは事実なのですが……

経営的な問題は頭が痛いようで。制度の改善かぁ。

病院というのは不思議なところで、作為による過失は問われないものの、 不作為による過失は人生を棒に振るまでブッ叩かれる。

  • 発熱した患者さんに対して、抗生物質によるアレルギーでなにかトラブルがあっても、交渉次第で何とかなる
  • 抗生物質を使わないことで何かトラブルになったら、人生を失う

ふーむ。気付かないのとわかっていてやらないのは違うのになぁ。

内科と細菌学者とは、同じ医者でも立場が異なる。

  • 内科医は、目の前のお客さんの利益を最大化させることを考える。耐性菌出現のリスクは「誤差範囲」だから、それを無視する
  • 細菌学者は、病院全体、世界全体の利益を最大化させることを考える。患者の死亡割合が「誤差範囲」なら、抗生物質を使わずに、耐性菌を減らすことを考える

違う視点では違う答えが出るか。これも違う話を思い出してしまうな。

結局どこに焦点を当てて考えるのか、その意思決定を為す責任を持つ者に委ねられるってことになるのかな?

サイトカイン

具体的に何?と。

免疫反応などで特定のサイトカイン遺伝子のスイッチが入ると、サイトカインが合成されて分泌されます。体液によって別の場所に運ばれたサイトカインは標的となる細胞に到達するわけです。蛋白質は細胞の中には入って行けないので、標的細胞の表面には信号を伝えるための受容体(レセプター)がある事が必要です。サイトカインが受容体に結合すると細胞の内部に信号が伝わり、幾つかの遺伝子のスイッチが入り、そのサイトカイン特有の生理作用が現れるのです。

何らかの目的を持って分泌されてレセプターに作用する蛋白質の総称か。

インターフェロンのようにウイルスの増殖を抑制する、という明らかに生体防御の活性を持つもののほかに、炎症性サイトカインとして知られるIL-6やTNFなどはリウマチ等の原因になっている事もわかってきました。サイトカインはすべて液性因子なので、遺伝子組み換えなどで生産したサイトカインを体内に注射することによる治療が行われているものもあります。インターフェロンはウイルスの感染や白血病などの癌に対して用いられています。新型肺炎SARS)に効果があったという報告もされています。リンパ球を取り出して、サイトカインによって活性化して体内に再び戻す、という癌治療も試みられています。これとは逆に炎症性サイトカインの場合は、それと拮抗するような薬剤が治療目的で開発されています。

炎症性サイトカインがヤバイので拮抗する薬剤を開発していると。

サイトカインはまた脳卒中における血液の再還流による組織へのダメージにも関与する。さらに臨床的にはサイトカインの精神症状への影響(抑鬱)も指摘されている。

サイトカインの過剰産生(サイトカイン・ストームと呼ばれる)は致死的であり、スペイン風邪やトリインフルエンザによる死亡原因と考えられている。この場合サイトカインは免疫系による感染症への防御反応として産生されるのだが、それが過剰なレベルになると気道閉塞や多臓器不全を引き起こす(アレルギー反応と似ている)。これらの疾患では免疫系の活発な反応がサイトカインの過剰産生につながるため、若くて健康な人がかえって罹患しやすいと考えられる。

特に炎症性サイトカインによる肺炎が・・・ってどこに書いてあったんだっけなぁ。
白血球が放出して炎症反応のトリガーになるとかなんとか。大量放出されれば大量に組織が炎症を起こすわけで。