周回遅れで白燐弾とかパレスチナとか

何週遅れかって感じだが自分のメモ的に。
パレスチナガザ地区イスラエル軍白燐弾で民間人も殺してるというような話がしばらく騒がれてたみたいだけど、それでこういうの見たわけですね。

ガザ地区内での、イスラエルによる3週間にわたる武力攻撃は約1000人にのぼるパレスチナ人の死と、数千人の死傷者を発生させています。1月3日に地上作戦が始まって以来亡くなった人の3分の1は16才未満の子どもであるとみられています。イスラエル当局はパレスチナの緊急対応機関が発表したこれらの数字について疑問を呈してはいません。イスラエル軍による発表によると、イスラエル側では4人の文民と10人の兵士が殺害されました。「(必要性の大きさに)比例した武力行使」という要件から推測される規模を超えて、パレスチナイスラエルにおける死者が100対1となっていることに、この攻撃の過剰な性質が表われています。

更に悪いことに、この武力攻撃は自らを守るために逃げ出すことができない、とらわれた人びとに向けられています。患者であふれている病院では、 MSFのチームが疲弊したパレスチナ人チームの傍らで活動しています。しかし、多くの負傷者は治療を受けていません。爆撃や銃撃が、救急車も、病院も、負傷者も移動を試みる医療従事者も区別することなく起こっている中、負傷者は病院へたどり着けない、もしくは医療従事者が彼らの元へ赴くことができていないのです。

1月7日にガザ市のみを対象として始まった毎日3時間ずつの停戦は、負傷者の移送と治療を行うには不十分です。絶え間ない爆撃が周辺地域で起こっており、負傷者を助けるチャンスがありません。16日に予定通りの停戦が行われたにも関わらず、ガザ市内の戦闘は激しいままであり、現地病院の一つが空爆を受けました。

病院に対する攻撃なんてのは酷い話ですが、病院に武器が運び込まれていたりなんかもするようで、そうすると一概にどっちが悪いと言い切れないのが難しい。しかし100対1なんて圧倒的な被害の差では劣勢な側に同情が集まるのも当然か。

「戦時中は、現在ガザでイスラエルハマスの間で行われている戦争でもそうですが、人道法の国際規定に反した武力行使への誘惑が常に存在します。これらの規定は1977年の追加議定書によって、1949年に採択されたジュネーブ条約に追加されました。最初の追加議定書の第57条は、1月6日にガザ地区で国連が運営する学校に対して加えられたような、民間施設に対する「自動的報復」を禁じています。イスラエル軍は現地の人びとが避難所としていたこれらの施設を空爆したのです。ある学校では40人以上の人が亡くなりました。イスラエル当局は、ハマスがこれらの学校からロケット弾を発射したとしてこの爆撃を正当化しました。

イスラエル当局は報道機関がガザ地区入りすることを禁じ、文民を保護する国際法の力を奪いました。現地では国際人道法が破られています。負傷者を援助する活動はまともに展開できず、文民の安全を保護するために戦闘の規模を制限することは拒否されています。殆ど姿を現さないハマスも、人びとを「人間の盾」として使う行為に表れているように、国際人道法の規定を遵守していません。

学校からロケット弾撃ってきたというのも酷い話で、相手が反撃しにくい場所を選んでいるハマスも非難しているわけですね、国境無き医師団では。
この問題で議論しているのを見ると大抵「どっちもどっち」という流れのようです。どちらが悪いのかと聞いても長い歴史があって簡単に答えが出ないような問題で、じゃあ最近やってることだけ考えたらどうかっていうと力の差こそあれ殴り合いしてたというわけで。
片方が悪いとは言えない、じゃあどうする。

ところで。一般的に文明社会とされるところで個人、あるいは組織単位の怨念が発生したとしても、それが殺人事件にまで発生しない場合が多いのはなぜかといえば、「殺人はよろしくない」という倫理的規範や、「殺人なんてやれば司法機関にとっつかまる」という抑止の力が働いているから。

多分、国家や部族といった単位のモメ事にも同じ考え方が適用できるのだろうけれど、さんざ血を流したところで、いきなり「倫理的規範」を持ち出したところで、それが通用するとは限らない。それであれば次善の策として、軍事力の均衡による抑止などの手段で「戦争のコスト」を上げて、抑え込みを図るしかないのでは。

積年の恨みもある、恐怖感もある。イスラエルはアラブ世界に、パレスチナは欧米に、自分達を切り捨てるつもりなら徹底的に戦うだけだというような諦めを持ってるかもしれない。そこまで覚悟しちゃってる人達に良くないと言ってもそりゃ聞かないだろうなぁ。
人間が殴り合いしてた場合は両方に言い分を聞いて味方になる人が居ると落ち着きやすいだろう。国だって似た様なもんかもしれない。でも国家は必ずしも善意で動くわけじゃない。利害の一致する範囲で「お付き合い」なんだよな。
組織が大きくなる程感情だけじゃ動けず結局利害関係。割に合わないと判断すればやらないはず。逆に争いで得をする立場からけしかける「悪い友達」もいるかもしれない。敵の敵が味方のフリをして漁夫の利を期待しているとしたら?
争いをやめさせたいなら、やっぱりどちらの何を批判するか考えるべきかな。でもそれはどちらかを悪と決め付けることでは無い。大抵の「紛争」は白黒はっきりついたりなんかしない。

  • AとBが対立している場面において、「Aを絶対善だと考えるな」という主張が「Bが絶対善である」という主張を含んでいるという意見は理解不能で、むしろ「AにもBにも問題点がある」という意味だと理解する方が普通だと思う。さらにそこで「それは『どっちもどっち主義』だ」と批判する人はきっと過失相殺とかない世界の住人なんだろうなあとは思うのだが、日本で社会科学の専門家を名乗る資格には大いに疑義が呈されてしかるべきだと思うのでもうちょっと落ち着いた方がいいと思う。
  • というか「動いている車同士の事故においてはどちらかが100%正しいということはない」とは巷間よく言われることなのであるが、だから衝突のパターンを細かく分類してみたり双方当事者の責任割合を加重したり軽減したりする要因を細かく細かくリストアップしてみたりして一生懸命実体的正義にかなった判断を導こうと関係各位が努力しているわけであって、弱者に対する配慮とか必要であってもその判断基準の内部で処理すればいいわけである。それを否定して「100%善か、悪か」という発想に立てば双方の一応合意できるような紛争処理は不可能になり、一方当事者が他方当事者を暴力的に打倒するという形でしか平和が回復されることはなくなるだろう。
  • でまあ、基本的にはそうなれば定義上弱者が勝利する可能性はきわめて低くなるので、弱者に味方したい人がそういう「1か0か」的観点を称揚するというのはどういう自爆行為だろうと思うわけである。いや私は(思想的)リベラルなので他人を巻き込まない限り誰かが自爆する自由を擁護したいと思っているところではあるが。

どちらかが合意できないような「イスラエルが悪い」「ハマスが悪い」では終わらない。そういう単純な非難が強くなったら逆に戦いが続くんだろう。イスラエルが非難されたら、ハマス生存権を認めていない*1相手であるイスラエルは武力を頼るに決まっている。回りは敵しか居ないのだ。逆にハマスを非難してイスラエルの反撃を煽ってもハマスは滅ばないだろう。ハマスイスラエルの攻撃を非難することで支持を得るし、貧弱な武装には人員さえ確保できれば復活が早いという面もある。100対1なんて馬鹿げた戦いが続いてしまう。
戦うにあたって最新兵器も無ければ逃げ場もないハマスは民衆を盾にするしか無い程弱い。そのせいかイスラエルを非難する声が目立つようだけど、イスラエルだけを非難することがパレスチナの民衆を殺してしまう。
しかもイスラエルは「しっぺ返し戦略」だから抵抗がある限りやめるはずが無い。選挙も右派が勝った。

これはイスラエルの「抑止力戦略」そのものだ。敵国から攻撃を受けたら、あらゆる手段を用いてでも、倍返し三倍返しで反撃する。それを学んだ敵国は「イスラエルを攻撃すると後が面倒だ」と、攻撃そのものを控えるようになる。(原則としてこれは自衛のための戦略であるという点に注意。)この観点から見れば、死者の数に著しい不均衡が生じるのは、もともとの戦略が企図したとおりであって驚くには当たらない、となる。「正義と不正義」の釣り合いを決めるのは死者の数ではなく、最初に「裏切った」側だ、というわけだ。

対国家戦ではこの戦略は有効に機能した。中東戦争以降、犬猿の仲のシリアも含め、イスラエルアラブ諸国の間には戦争は起こっていない(一応第1次レバノン戦争があるが、あの当時レバノンは既に国家の体を成していなかった)。ところが、ヒズボラハマスはこのイスラエルのしっぺ返し戦略を逆に利用する戦略を取るようになる。ちょっとの挑発に対してもイスラエルが猛反撃を加えてくることは明らかなのだから、適当に挑発を加えて市街戦に引きずり込み、無辜の自国民(子供が特に望ましい)を殺害させる。こうして、国際社会にイスラエルの非道さと、悪魔のイスラエルに立ち向かう勇敢なる我らが組織をアピールし、同情と資金と武器を集めるわけである。ハマス自身、ファタハとの内戦でファタハ高官の息子3人(全員小学生)を蜂の巣にしたり、やりたい放題やっているのだが、そんなことを気に病んでいては悪の巨魁たるイスラエルとは戦えないのである(注3)。

通常の国家であれば、このような究極の焦土戦術は政治的に不可能だ。国家の因って立つ基盤は国民にある。国民が疲弊すれば国家経営は立ちゆかない。しかし、ヒズボラハマスといった政治組織は、そういうしがらみがあまりない。昔PLOがやったように、都合が悪くなったらあちらこちらの国を渡り歩いて捲土重来を図ればよいのである。このような組織に対して猛反撃を加えても、将来の抑止には繋がらない。しっぺ返しのコスト(自国兵士の損失や国際社会の非難)に比べ、得られるものはあまりにも少ないのだ。

こう考えると、建国以来のイスラエルの基本戦略である「抑止力戦略」または「しっぺ返し戦略」は、修正ないしは転換をすべき時期に来ていると言えるだろう。

ハマスのやり方は酷いものだが他に対抗しようが無いのだろう。そして有効に機能した。イスラエルはまんまと術中にはまったというわけだな。
こんなのもある。医師が自宅を砲撃されて家族を失ったという。

イゼルディーン・アブルアイシュ医師はイスラエルに対する「憎悪の連鎖」の一部になったりはしていなかった。彼はガザ地区で診療所を開き、医学校で教えるかたわら、イスラエルの病院にパートタイムで勤務し、イスラエル女性の不妊治療に当たっていた。また、重病のパレスチナ人をイスラエルの病院に移送して治療を受けさせたりもしていた。

BBCの記事にはあまりはっきりと書かれてはいないけれども(女子学生が彼に、イスラエル人が子供を作ることを助けているなんて、その子供が成長して人殺しをする兵士になったらどうするんですか、と詰め寄った、と書かれてはいるが)、「紛争」(暴力を伴う政治的対立)のある場所で、あるコミュニティの一員が「あっち側」とつながっていることは簡単なことではない。何もなくても「内通者」と見られることが多いからだ。

ガザ地区イスラエルの場合は、例の「国境の検問所」(パレスチナは「国」でないときに「国境」という用語もどうかとは思うが、便宜上この言葉を使う)という存在がある。1980年代の日本の入試のごとく、「通す」ことではなく「通さない(ふるい落とす)」ことを目的としているんじゃないかというこの検問所を、アブルアイシュ医師はいつも堂々と、忍耐強い態度で通っていた、とBBCの記者は書く。

BBC記者がラジオ番組を制作した2001 年、アブルアイシュ医師がパートタイムで働いていたイスラエルの病院のIVF体外受精)科の責任者は、アブルアイシュ医師のことを「イスラエル人とパレスチナ人の間の、不思議な秘密の橋 (magical, secret bridge)」だ、と述べていた。

このような人が被害を受ければ世界中から反発を受けるだろう。しかしイスラエル国内ではこの医師に対する風当たりが強い。

そして、この女性のこの言葉を皮切りに、その周囲の人々が、イスラエルの兵士たちがガザで戦っているときにパレスチナ人に発言の場を与えるなど、病院もあつかましいことをする、と騒ぎ始めた、という。

イスラエル社会は『異なる民族のるつぼ』という段階はとっくに通り過ぎて、多文化社会という段階に入っているという会議や記事がいくつも存在している。けれどもアブルアイシュ医師は、これがいかに嘘 (false) であるかを思いがけず暴いてしまったのだ。ガザに住んでいる人たちのことなど、イスラエルの意識にはまったく存在しない。『他者』という存在ですらもないのだ」と一気に書いている。

対立、また対立って感じで嫌になる内容である。兵役拒否とかも有るんだけども。
現状はというとこんな感じらしい。

ファタハハマスが協調すればイスラエルと対話可能だろうか。イスラエルが右派政権になったことを警戒し共闘することになったってわけか。

 アメリカの中東特使ジョージ・ミシェル氏は、ファタハとハマースによる統一パレスチナ政府が出来ることを、希望すると発言した。これは今までの、アメリカ政府の立場とは、異なるものだ。

 このジョージ・ミシェル特使の発言から、アメリカのオバマ政権はブッシュ政権とは異なり、現実的にパレスチナ人に大きな支持を得ている、ハマースを無視しては中東和平の根幹である、パレスチナイスラエルの交渉は進まない、という判断を下したのであろう。
 このジョージ・ミシェル特使の判断と発言が、今の時期になされたということは、これから誕生するであろう、ネタニヤフ氏を中心とする、新イスラエル政府に対する、厳しいメッセージということではないか。

時をほぼ同じくして、シリアのダマスカスでは、フランスの議員2名が、ハマースのトップである、ハーリド・ミシャアル氏に会ってもいるのだ。つまり、アメリカもヨーロッパも、ハマース認知に向かっているということだ。

アメリカも含め欧米がハマス込みの統一パレスチナを望む方向。ネタニヤフ氏はどう出るか。

 マルワーン・バルグーテイ氏は西岸で生まれ、西岸でパレスチナ解放闘争活動を継続してきた、いわば土地っ子であり、他のファタハの幹部のように、外国で革命闘争を展開してきた人物(革命貴族)ではない。したがって、西岸地区を始め、ガザ地区の住民の間でも、彼に対する評価は高く、支持を集めてきている。
 マルワーン・バルグーテイ氏の活動は、地に足を付けたものであり、占領下のパレスチナ人が、イスラエル側との間で、日々の生活条件改善の交渉に始まり、ゲリラ闘争をも含むものであったのだ。
 この人物がイスラエルの刑務所から出てくることになると、マハムード・アッバース議長の汚職体質が批判され、ベテランのファタハ幹部は、押し並べて非難を受ける可能性が高い。
 以前に、アラファト議長の後任としての、パレスチナ自治政府議長選挙に当たっては、マハムード・アッバース議長がマルワーン・バルグーテイの立候補に圧力をかけて、阻止したといわれている。もちろん、そのことはマハムード・アッバース議長とイスラエルとの、合意によるものだったと思われる。
 したがって、今回のマルワーン・バルグーテイ釈放の可能性の裏には、イスラエル政府がマハムード・アッバース議長に、見切りをつけた可能性もある、ということにはならないか。

どうなるファタハ。住民の人気が高いのは良いが闘争路線の強い人なんだろうか。

 エジプトにとって、もうひとつの問題は、ハマースと関係が芳しくなかったこともある。このため、エジプトの進めたハマースとファタハとの仲介努力は、ことごとく失敗してきていた。
 つまり、ハマースの説得が出来ない状態では、イスラエルとハマースの停戦の仲介が、進められなかったということだ。結果的に、エジプトはアラブ大衆の非難を、まともに受けながら、何の手立ても出来ないでいた。
 そうしたなかで、トルコが登場した。トルコはエジプトとの間に、良好な関係を維持しているばかりではなく、イスラエルとも、シリアとも、イランとも良好な関係を維持している。
 加えて、トルコはパレスチナの二大勢力である、ハマースとの関係も、ファタハとの関係も維持していたため、エジプトがハマースとの交渉を進めるに当たり、ハマース側からトルコの参加を要請されるという幸運に恵まれた。
 結果は、イラン、シリア、エジプトといった国々の努力の上に、トルコは漁夫の利を得ることが出来た形になった。この状況は、今後、エジプトとトルコの関係を強化して行くであろうし、そのことから生まれてくるであろう、大きな政治的変化を、中東地域に生み出すかもしれない。

ハマスはエジプトの政権と対立するムスリム同胞団から生まれたという背景があって、エジプトが交渉するのは難しい。そこでトルコの出番か。

イスラエル南部のアシュケロン(Ashkelon)に21日、パレスチナ自治区ガザ(Gaza Strip)地区から発射されたロケット弾1発が着弾、爆発した。この爆発によるけが人や被害は無かった。同日、イスラエル軍関係者が明らかにした。

1発でけが人なしか。あまり攻撃の意思は無いのかな?
さてと。この辺にして最初のリンクにもあった白燐弾の話に移ります。

白燐弾騒動

なんか相当揉めてたっぽいんですよね。Wikipediaも二転三転してたようで。

ここなんか見るとホントこじれてたんだなぁと思います。

この問いは、白燐弾をめぐる国際法問題において、次のように変奏されます。イスラエル白燐弾使用による非戦闘員被害がガザに存在すると報じられているとき、国際法の文面をどのように取り扱うか。つまり、そのとき問われるのは、憲法にせよ国際法にせよ、立法の精神と守られるべき法益です。だから、護憲の立場において自衛隊違憲とする言説は支持を得られなくなりました。

「「どういう仕方で使われたか」以前の「白燐弾を使った=違法」とする主張」が問題であるなら「どのように国民がその存在を承認しているか」以前の「自衛隊=合憲」とする主張も問題たりえます。むろん「自衛隊=合憲」とする主張はその前提条件を含意するがゆえに、私は「自衛隊=合憲」とする主張に、あるいはその言明に、問題あるとは考えません。つまり、任意の法をめぐる議論において政治的/社会的/歴史的なコンテクストは「明確に切り離せ」ません。切り離すなら簡単で、自衛隊違憲です。「でっていう」。

なんつーか良くここまでわかりにくく書けるもんだと感心する文章ですね。えーとまず報道の通りに「白燐弾使用による非戦闘員被害」が存在するという前提だと。で「白燐弾の使用は違法」がNGなら「自衛隊は合憲」もNGと。「白燐弾使用に問題が無い」ことと自衛隊違憲性は同列ってわけだ。厳密に解釈したら自衛隊違憲白燐弾は問題無しだって言ってるわけね。
だけど使い方によっては厳密な解釈と違ってくる面があって、自衛隊が認められてるのと同じように、この騒動では白燐弾は認められないと。
なんでこんなクソわかり難いことになってるかっていうと「白燐弾違法論者」っていうのは居ないからそれを批判するのは藁人形論法だ、という話をしてるかららしい。
で、

その「ごらんの有様」がガセネタなら別ですが、少なくとも現在現地の被害は報じられています。「白燐弾使用」の被害として。「イスラエルのガザ侵攻における白燐弾使用」と但し書きすべき、という話なら了解します。また「非人道的兵器の使用」でなく「「非合法ではない」兵器の非人道的使用」というコンテクストの正誤についても了解します――それを「正誤」の問題とあまり思えないのは私にミリオタ属性がないからか。そして、「イスラエルの非人道的行為」について合意しうるなら、少なくとも「互い」に「争う」要はないと、私もまた思います。

白燐弾自体は合法でも「イスラエルのガザ侵攻」で非人道的な使い方をしてればそれは違法だろうと。「非人道的兵器の使用」じゃないけど非合法だと。ああわかり難い。
しかし報道されるような「白燐弾使用による非戦闘員被害」が存在したとしても、それは「非人道的な使い方=違法」かっていうと「非戦闘員被害」もまた「どのような仕方で被害が出たか」という部分があるんじゃないか。
爆撃に民間人が巻き込まれて死んでもそれを罪に問えないと聞く。「誤爆」と「巻き添え」は事故扱いなんだろうな。わざとやってるなら立証すれば罪に問うことが可能かもしれないが、じゃあ白燐弾で「意図的に」民間人を傷つけていると立証できるのか?無理だろう。
まぁ白燐弾がどんなものか見ていきましょう。

白燐弾は焼夷兵器禁止条約から漏れており、化学兵器禁止条約からも漏れている為、現状では違法兵器ではありません。つまり、「条約違反だ!」と声高に叫ぶ事は間違っています。それはデマを流す行為ですので、止めて下さい。デマでは無い、正しい、と言うのであれば、法的な根拠を指し示して下さい。しかし数年前にもこれと同じ流れになっており、白燐弾は条約違反だとする側は最終的に「条約に書かれていなくても国際慣習法のもとで不法であると論ずることができる」というアクロバット的な論法を繰り出しています。しかし白燐弾は問題化したのがつい最近の話であり、昔からの慣習であるとはとても認められません。

普通に考えれば条約違反になりません。

まず第一条「定義」の部分をじっくり読んでください。そしてイスラエル国防軍(IDF)が使用している155mm榴弾砲用のM825A1白燐弾は、発煙弾(煙幕弾)として設計された兵器です。つまり焼夷効果を第一義的に狙って設計されておらず、付随的(副次的)な焼夷効果を持つ弾薬類は焼夷兵器とは見なさないという条約上の定義に従えば、M825A1白燐弾をこの条約で規制する事は出来ません。

焼夷兵器では無い。

またこの条約は例外規定が多く、その為に単なる「禁止条約」ではなく「使用禁止又は制限条約」というまどろっこしい題名となっています。照明弾や発煙弾、信号弾が除外されるのは勿論、複合弾薬も許可されており、徹甲焼夷弾なども除外される事になります。つまり劣化ウラン弾には副次的な焼夷効果がありますが、除外されます。また一部のクラスター爆弾には炸薬とは別に発火性の高いジルコニウムが内蔵されていて焼夷効果を狙っていますが、これもオマケ的に追加された副次的な効果である為に焼夷兵器扱いにはなりません。

副次的な焼夷効果があっても焼夷兵器では無い。

重要なのは2です。「いかなる状況の下においても、人口周密の地域内に位置する軍事目標を空中から投射する焼夷兵器による攻撃の対象とすることは禁止する。」とはどういう事なのか。これは軍事目標であろうと人口周密地域にあるものを、焼夷兵器による空中投射による攻撃を行ってはならないとしています。実は基本的に人口周密地域であろうと軍事目標に対しては攻撃しても国際法に違反しません。それを焼夷兵器に関しては使用を禁止しようというのが、この条約の主旨です。

つまりこの条約は「焼夷兵器は残虐な負傷を伴うから禁止しよう」という主旨のもの"では無い"のです。もしそういう主旨ならばダムダム弾のように兵士に対しても使用を全面禁止するはずです。しかしそうではない、禁止対象は「人口周密地域」での使用という広い範囲である・・・これで理解できると思います。焼夷兵器は『延焼性』がある為に、仮に軍事目標だけを狙った攻撃が成功しても火災が発生し、周囲の民間施設を巻き添えにする可能性が高いから、使用を規制しようというのがこの条約の主旨なのです。

そこで3の部分です。空中からの投射ではなく、地上からの投射であっても、基本的に人口周密地域での焼夷兵器の使用は禁止されていますが、軍事目標が人口周密地域と分離され、民間人を巻き添えにしないように十分な予防処置が取られている場合なら、使用が可能となっています。つまり市街地の中であっても明確に分離された塹壕陣地内などであるならば、「焼夷兵器」である火炎放射器や焼夷手榴弾を投げ込んで敵兵を焼き殺しても合法扱いになる可能性が残されています。

「仮に焼夷兵器だとしても」の話として。密集地域への使用禁止。民間施設への延焼が無いのはOK。
民間人を巻き添えにするのがわかってやってると主張してもそれは焼夷兵器の問題とは別。

直接的に対人殺傷を狙った場合はあまりに殺傷効率の悪い白燐弾ですが、焼夷効果を利用して二次的な火災を生じさせた場合の殺傷効率を考えて見ます。すると煙幕弾として設計されたM825A1は、専用設計の焼夷弾ではない事の問題点が浮上してきます。上記で述べたとおり、M825A1の白燐欠片は1個50グラムほどで軽く、比重が1.82と小さい為に空気抵抗を受けやすく速度は急激に落ち、貫通力が殆どありません。空中で炸裂させても建造物の屋根を食い破れないのです。

太平洋戦争でB-29爆撃機から投下された集束焼夷弾は、その開発過程で日本家屋を再現し、焼夷子弾は屋根を突き破った後にちょうど畳の上で起爆するように設計されています。この焼夷子弾は金属ケースに焼夷剤(ナパーム)と炸薬を内蔵した構造で、クラスター弾扱いとなります。日本家屋を目標に専用調整された構造だったのです。

しかしM825A1は煙幕弾として設計されている為、このような攻撃用焼夷弾のような工夫は施されていません。しかもガザの難民キャンプは滞在が長期化しているため、難民キャンプといってもテントを張っている訳ではなく、コンクリート製の建造物を住居としており、M825A1の空中炸裂で生じる小さな白燐欠片で火事を引き起こす事を狙うのは、効率が悪いのです。建造物の屋根や壁を食い破ってから燃え上がれば延焼火災を引き起こしやすいのですが、それを期待できない以上、火災の発生確率は大幅に下がります。現実に火災は発生していますが大火災は発生しておらず、散発的な火災が起きているに止まっています。15日に国連のUNRWA人道支援物資倉庫が白燐弾によるものと思われる攻撃を受けて炎上しましたが、ガーディアンの動画ニュースを見ると物資は倉庫内から倉庫外にまで連なって集積されている上、シャッターが全開状態であり、此処から白燐欠片が飛び込んできた可能性があります。

ガザで使われた白燐弾はコンクリート製の建物を突き破ることができないもの。事故狙いで火災を起こすのは効率が悪すぎるし、病院や学校を普通に攻撃したイスラエルなので「非難を避けて攻撃する為に使う」なんてのは無理があります。

これがIDFの軍事行動です。市街地で平然と榴弾、爆弾を用いています。戦時国際法は市街地であっても軍事目標に対しては攻撃を認めています。そしてそもそも民間人を狙った攻撃は榴弾だろうが白燐弾だろうが全ての兵器で禁止されています。しかし誤射、誤爆戦争犯罪ではありません。つまり「白燐弾ならば発煙弾だと言い逃れる事が出来る」という主張は、国際法的には何の意味もありません。そもそも通常の榴弾や爆弾は市街地で使用しても違法では無いからです。そしてIDFはその使用にさほど躊躇はありません。

「非人道的だ」と非難されようが国際法違反でなければ市街地を攻撃するイスラエル白燐弾を無理やり攻撃に使う必要なんて無い。
大体なんでイスラエルが使うと大騒ぎになるのか。

「砲弾は8センチ程度で、1発はりゅう弾、もう1発は黄リン発煙弾とみられる。」

「発煙弾については、殺傷力が弱いため部隊を混乱させる狙いだった可能性がある。」

サマワで使用されたのは、旧ソ連製の82mm迫撃砲から発射された迫撃砲弾です。白燐弾(黄燐弾)がファルージャの件で騒がれだす以前では、マスコミの白燐弾に対する認識は、このようなものだったのですね。実際に殺傷力は弱いのですから、正しい認識です。しかしそれが何故かアメリカ軍やイスラエル軍が使用すると白燐弾は「悪魔の兵器」呼ばわりされてしまいます。この豹変振りは、幾らなんでもおかしいでしょう?

あー、使う国の軍事力とか「属性」に合わせて威力や性質が変わるとか?ゲームみたいだな。
白燐は危険だという人もいます。

燃焼熱によって溶けた黄燐はその流動性と浸透性により防御困難です。

上空から降りそそぐ榴弾の破片をある程度は防げるヘルメットと防弾着も液化して浸透する燃える白燐を防ぐことはできなかったりするわけで、白燐弾はその防御困難性において有効な兵器です。

弾薬や燃料が榴弾の破片程度は防げるように防護されていたとしても、隙間から流れ込み浸透する燃焼熱で液化した黄燐は防ぎにくいものです。

よって、白燐弾をこういう風に焼夷兵器として敵に用いることにより弾薬や燃料の誘爆を狙えるわけです。

アメリカ軍がこういう風に使った白燐弾は「煙幕弾」と名づけられてはいますが、現場でこういう風に焼夷兵器として敵に対して使われるのは当たり前のことでした。

白燐弾は高高度で爆発するように撃てば落下するまでの間に殆どの燐片が燃え尽き概ね煙幕弾としてしか機能しませんが、低高度で爆発するように撃てば防御困難な燃える燐片を地上にばら撒く焼夷弾となるわけです。

白燐が溶けて流れて火達磨にってどんな「煙幕弾」だよ。白燐手榴弾とか焼夷弾の説明みたいな文章で煙幕弾を説明してる。
ところで漫画の一部を掲載してたのが小林源文本人に見つかったんだけど。
小隊長日記〜日々是鍛練ナリ。: めくら蛇に怖じず?そして、今日の小林源文閣下!w
どうなったんだろな?特に何も無いから引用の範囲とかでお咎め無しだったんだろうか。
白燐弾(煙幕弾)はこんなのです。

M825A1の場合、白リンは4半円状のセルロースのフエルトに染み込ませて搭載されています。それをWedgeといい、116個のWedgesには、総量5.7kgの白リンが充填されています。

フェルトに染み込んだ白燐をばら撒くわけですね。フェルトが燃えながら落ちてくるんだから、当たっても跳ね返るとかするでしょう。

白リンは燃えカスに覆われて酸素が供給されなくなると燃焼を止めますが、燃えカスが砕けるとまた再発火します。ガザの国連の倉庫では、1週間たったあとでもまだ燃えているこうした塊が有ったそうです。

酸素に触れて発火するので、表面だけ燃え尽きても中に残ってます。だから触るとまた燃え出したりするんですね。
消化する時は水をかけます。しかし勢いよくかけるのは危険です。

黄りんの「棒状の水を注ぐと溶けた黄りんが細かい粒子となり、飛び散って危険である」というのは、いわば燃えている油に下手に水をかけると煮えたって飛び散り、かえって危険だったりするのと同様の現象。黄燐の方が水より比重が高いので完全に同じというわけではありませんが、液体の「高温で燃焼している水に殆どとけない物質」に水をかけると水が瞬時に沸騰し水蒸気となり、それが「高温で燃焼している水に殆どとけない物質」を弾き飛ばしてしまうという科学的に当然の現象。

燃えたてんぷら油に水かけちゃダメですからね。霧状に噴霧すればOK。
消化の際毒ガスが出るという主張もあるようですが否定されてます。

白燐に水を掛けると強い毒性ガスが発生・・・って、そりゃ何て名前のガスでどんな化学式ですか?

黄燐焼夷弾の白煙は10分くらい吸っても無害とのことで、防毒面は附けずに消火活動を行うとのこと。

黄燐(白燐)が燃焼した際に生じる煙(五酸化二燐)の毒性とはこの程度です。「毒性が薄くても濃度が濃ければ危険だ」という意見もありますが、そんな事を言い出したら大抵のガスや煙にも毒性は有るので意味は無い主張です。

黄りん :滋賀県医務薬務課より黄りん(白リン)の特徴を抜き出してみます。

・アルカリ水溶液と反応して自然発火の有毒なホスフィン(りん化水素:PH3)を発生する。
・小規模火災の場合土砂等で覆って消火する。
・大規模火災の場合は霧状の水を多量に用いて消火する。
・棒状の水を注ぐと溶けた黄りんが細かい粒子となり、飛び散って危険である。

3 年前のファルージャ白燐弾デマ騒動でも有毒ガス「ホスフィン」の名は出ましたが、見ての通り水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を掛けないと発生しないので、消火用の水でホスフィンが発生するようなことはありません。また水を用いた消化方法も、直線状の水流で高い水圧を掛けるなと言う注意書きであり、白燐そのものが飛び散ってくると言う話であって「強い毒性のガスが発生する」というのはウソです。これは浮遊性の高いゾルが発生するという事ではありません。あくまで飛び散った先が新たに発火する場合に消火作業が滞ると言う意味です。エアロゾルなら「飛び散る」という表現は有り得ません。他には燃焼し有害な強い刺激臭のある煙霧、つまり五酸化二燐の煙についても言及されていますが、既に述べられている通り、10分間吸い続けても平気な程度の弱い毒性です。

石鹸とかでアルカリ性の溶液ができちゃうとよろしくないので真水を使うという注意点はあるようです。酸素が遮断された状況で微量に生じると主張した人も居たようですが、微量なら問題無し。水だって毒性あるんだぜー。
皮膚を腐食とかって主張もある。

白リン(P4)は空気に触れると常温(>摂氏30度)で酸化反応を開始し自然着火し、白い煙を上げる[#0]。摂氏44度が融点なので、空気に触れた表層部分の燃焼と共に熱で液状になった白リンはどろどろの飛沫になって皮膚にまとわりつく。脂溶性なので水で洗い流すのは困難である。弱火にかけて溶けたラードを体に浴びることを想像すればよいのだが、より悪いことに、白リンは体温程度の温度で自然発火する物質である。水をかけることで鎮火するが、乾いた部分から再び自然発火する。容易な再着火と、熱による乾燥速度の上昇が相補的にはたらき、消火活動は難航する。皮膚はII度からIII度の火傷を受ける [#1]。一方、酸化反応の結果として生じる五酸化二リン(P4O10)は白い粉末状である。水と熱を発しながら反応し(脱水作用)リン酸になる。白リンの燃焼によって生じた五酸化二リンの一部は煙(アエロゾル)として空気中に飛散する。一部は皮膚に付着しつづける。後者は特に火傷によって露出した皮下組織と激しく反応し腐食を起こす。皮膚を腐食する薬品として有名なものには強酸、強アルカリなどがあるが、五酸化二リンの場合はその強烈な脱水作用が腐食を引き起こす([#2]、なお、薬品瓶は通常腐食性危険物としてラベルされている)。皮膚に付着して燃焼を続け生じた火傷のその場所で同時に脱水による腐食が進行する。以上のことから白リン弾の投下によって不幸にも白リンを浴びた人間は煙幕弾としての効果だけではなく、(a)対人焼夷兵器としての燃焼効果 [反応式1] および(b)対人化学兵器としての腐食効果[反応式2]の被害を同時に受けることになる[#3][#5]。全身症状は特徴的であるがなぞが多い。体表面積の10パーセント以上に白リンによる皮膚の損傷を受けると、火傷が生じた一時間後から低カルシウム血症と高リン血症がみられ、肝機能障害、突然死を引き起こす[#3][#4][#5]。

白燐弾から発生した五酸化二燐は無色なんだそうです。それが即座に水分と反応して燐酸になることで煙幕が形成されるという仕組み。
「脱水作用が腐食を引き起こす」ってなんだそれ?って感じですね。壊死じゃなくて?でも「皮膚を腐食する薬品として有名なものには強酸、強アルカリなどがある」と書いてるな。なんじゃこりゃ。
強力な乾燥剤として使われるという五酸化二燐は水と爆発的に反応するわけですが、反応が速いってことは無くなるのも速いでしょう。激しく燃える白燐も反応が速い。空中で炸裂した白燐弾が人に当たった場合どのぐらい残ってるもんかな?
皮膚にちょっと付いたとしても反応の速さですぐ無くなってしまえば表面の火傷ぐらいだろう。仮に腐食が起きるとしても、表面に付いた程度じゃ大した問題にならないはず。強酸性の薬品、濃硫酸とかだって、無限に物を溶かせるわけじゃない。沢山溶かすには沢山必要だ。
それでも燃えカスが何かの拍子に傷口へ飛び込んだとかってことはあるかも知れない。その場合体液があって空気に触れないから反応しにくいんじゃないかな。燃えるのは露出した部分だけだろう。接触した部分は乾燥するかも?そしたら傷口に水と反応して燐酸ができるのかな。燐酸なんてありふれた物質とはいってもあまり高濃度だと嫌かも。だけどそもそもの白燐の量が・・・ねぇ。何が生成したにせよどれだけ吸収できるよ。
しかも白燐と水では反応が止まる。燃焼後の五酸化二燐と水が反応するのだ。濡れた白燐に脱水する力は無い。

悪魔の兵器祭り

白燐弾に限らず色んな誤情報が飛び出したもんです。

ガザ市で活動するノルウェー人医師が地元テレビに語ったところによると、軍は米国開発の新兵器DIME(高密度不活性金属爆薬)を使った疑いがあるという。DIMEは超高濃縮炭素に金属粒を詰めた兵器で、人体の表面をほとんど傷つけずに骨や内臓を高温で焼いてしまう。殺傷力が高く、発がん性も強いとされる。

なんて酷いデマ・・・ってこれ、白燐弾に関するデマとDIMEの説明がゴチャゴチャになってませんか? 話にならないですよこの記事。こんな頭の悪い記事が編集を通るだなんて信じられません。DIMEのカーボン繊維弾殻の意味もHMTA(重金属タングステン)粉末の意味も全く理解していない。一体どうやったら物理的に「人体の表面を傷つけずに骨や内臓を高温で焼く」のか、ついさっき自分が口走った単語(炭素とか金属とか)でそんな効果がどうしたら現れるのか、説明して欲しいです。どう考えても不可能でしょうに。

どうなってんだ。宇宙人でも攻めてきたのか。ガザ地区は一体何に襲われてるんだ?

この爆弾がなぜ危害範囲が狭いのか簡単に言うと、殺傷能力のある弾殻破片がほとんど発生しないからです。実は爆弾の殺傷範囲は爆風よりも破片の方が遥かに長い距離まで届くのですが、DIMEのカーボン繊維弾殻は爆発で粉微塵になって、鉄製の破片のような殺傷力は有りません。その代りに不活性金属(火薬の爆発でも燃焼しない)のタングステン粉を入れてあります。粉末状なので空気抵抗で急速に威力は減衰し、DIMEの危害範囲は数メートルしかありません。

DIME の危害範囲の境界線付近でタングステン粉を叩きつけられた事による「のこぎりで切ったかのような切断」という話はこの2006年の赤旗記事にも出ています。これが残虐兵器呼ばわりの根拠なのでしょうか。しかしもしDIMEではなく通常の爆弾だったら爆風と無数の弾殻破片に切り刻まれて人体は原形を留めていない、と思い浮かびそうなものですが、どうしてそういう比較した連想が出来ないのですか? 僅か数メートルの距離で爆弾が炸裂した時に、一体どれだけの人間が生き残っているのか、想像できませんか?

DIMEは巻き添えにする人間の数を大幅に減らす事が出来ますが、不幸にして巻き添えにされた場合、摘出困難な金属粉により治り難い傷を負う事は確かです。その意味で残虐兵器呼ばわりしているのでしょうが、DIMEではなくて通常爆弾ならば残虐じゃないのかと言うと、そうではないでしょう。DIMEの危害範囲(直径4メートル)周辺に人間が居たとして、通常爆弾が爆発した場合、そもそも全員助かりません。仮にDIMEを使用禁止にして通常爆弾に戻した場合、巻き添えになる死傷者は確実に増えます。

傷の様子は見るに耐えないようなものなんだろうけど、比較の問題だからなぁ。マシといえばマシ。

毎日新聞の記事を見て、イスラエル軍がガザでクラスター爆弾を使用したと日記を書いた著名ブロガーが現れ、それを見たブログ持ちの読者が更に記事を書き、デマが拡大再生産されていきました。また「きっこの日記」「低気温のエクスタシーbyはなゆー」の双方に引用されている動画を見れば分かりますが、 M825A1白燐弾の空中炸裂をクラスター爆弾と勘違いした誤報記事となっています。

ある意味大人気なクラスター爆弾

私はファルージャの騒動の時から見慣れているので、今回の動画を見た瞬間に白燐弾だと気付きましたが、軍事方面に詳しくない人達が動画を見て白燐弾の空中炸裂をクラスター爆弾と勘違いするのは、ある程度しょうがない面もあります。でも落ち着いて考えればクラスター爆弾は特に光ったりするわけではない事に気付いても良さそうなものですが・・・

曳光弾のイメージで見ちゃったか?

市街地は遮蔽物の集合体であり、火力を吸収してしまいます。第二次世界大戦でドイツ軍とソ連軍が大規模な市街戦闘を行った時、頼りになったのは1発あたりの破壊力が大きな重砲でした。歩兵を支援できるよう、接近戦で大口径榴弾砲を撃ち込む突撃砲が開発され、建造物に潜む敵兵を建造物ごと吹き飛ばしていきました。1発あたりの破壊力の高さが市街戦闘で重要視されたのです。つまり、市街戦で要求される能力はクラスター爆弾とは正反対という事になります。実際に現代のアメリカ軍も、当初はクラスター弾頭のみを用意していたMLRSやATACMSに、新規開発で単弾頭タイプを用意し、MLRSの単弾頭タイプである M31ユニタリー弾は既にイラクやアフガンで市街地での攻撃に実戦投入されています。

求める性能を持たないので使わないと。

イスラエル軍は、2006年のレバノン侵攻でヒズボラとの戦闘にクラスター弾(MLRSのM26ロケット弾)を使用しました。この時は使用したクラスター弾の殆どを停戦寸前の撤退直前に撃ち込んでおり、本当の意味の攻撃目的では無く「置き土産」を意図したもので有る事は明白でした。

今回のガザ侵攻の際に同様の事をしなかったのは、レバノン侵攻時の際の国際社会の非難、そしてアメリカの事前の圧力(もし市街地で使ったら二度とクラスター弾を売らないと警告)、そして無駄使い出来る使用期限の迫った弾薬の在庫はもう無かった事が挙げられます。

えげつないことしてんな。不発弾が問題になって良かったということか。

GBU-39(SDB)は鋼鉄製の弾殻で、劣化ウランなんて使われていません。どうしてこの兵器の詳細を調べないんですか。この兵器の構造や開発主旨を理解すれば、劣化ウランなんて使われていない事は直ぐに理解できる筈です。最初に言っておきますが、貫通爆弾=劣化ウランだと思い込んでいるなら大間違いです。この世に存在する貫通爆弾の殆どは鋼鉄製の弾殻です。劣化ウランタングステンチタニウムを用いた貫通爆弾もあるにはありますが、数は多くありません。

出ました劣化ウラン

SDBは、弾体重量に比して炸薬量が少なくなっています。減らした炸薬の重さは弾殻重量と誘導装置に充てています。どれくらい炸薬量が少ないかと言うと、従来からある通常形状の250lb爆弾であるMk.81に比べて半分しかありません。炸薬量が減った分、爆発力は下がりますが、精密誘導装置によるピンポイント爆撃でカバーします。SDBはその開発過程でコソヴォ空爆の教訓を活かし、民間人への付随被害を抑える為に爆発力は小さく求められていた為、炸薬量が少ない事は寧ろ渡りに船でした。また民間人を巻き添えにする被害を抑えて非難されないようにと気を使った設計の爆弾に、非難対象の劣化ウランを使ってしまったら何の意味も無いわけで、設計段階の時点でそんな事をする筈がありません。

こいつは序の口でした。

核兵器に分類される」「核分裂装置を伴う」

トンデモ過ぎやしませんか、この医師は。

そりゃICBUWが「この医師が言っている事は本当ではありません!」と認定するわけです・・・欧州委員会がどうのこうの言っていますが、じゃあその情報ソースを出してくださいよ・・・マッズ・ギルバート医師、貴方はDIME原子爆弾か何かであると思っているのですか? もういい加減にしてください。

核兵器だ!・・・何が?

両兵器共にウランは使用されていない、という認識です。またGBU-39については鋼鉄製弾殻であること、DIMEについてはカーボン製弾殻であることを理解しており、かなり正確に調べ上げている事が見て取れます。これは正直、感心しました。反戦団体は非難したら言いっ放しで、間違いだと判明しても訂正記事を入れてくれることは滅多に無いのですが、ICBUW本部事務局はデマに踊らされないようにきちんと事実を検証し、馬鹿な証言やレポートに組することなく慎重な態度を貫いています。

もう速攻否定。DIMEは核兵器とか言っちゃうんだもんなぁ。

軍板FAQ

参考になりそうなというかした部分を貼り付け。自分で見るのに楽だし。

ゲリラ戦は「人民の海の中に隠れる」ことを特徴とするが,イスラエルのこの施策は,「人民の海」そのものを枯らそうとする試みのように思える.
 アフ【ガ】ーンではソ連軍が武力で村落を破壊することで,それを達成しようとしたが,世界が注視する中東では武力による「海枯らし」は困難なので,経済封鎖によってそれを達成しようとしているのではないかと愚考する.

イスラエル軍はこの攻撃でハマスによるロケット攻撃を防げるなどとは考えておらず,代わりにハマスに,ロケット弾攻撃に対する代償を払わせるのが狙いだという.
 そのため,大学,警察,自治政府の施設,ハマス指導者の私邸を攻撃し,自治政府の政府機能を失わせようとしているという.

 2/8付イディオット・アハロノットによれば,ハマスが病院を占拠してファタハ系住民の監禁と拷問に使っており,病院の業務にも支障が出ていると,自治政府の保健相が非難したという.
 ただし,その翌日の同紙によれば,ハマスファタハが互いに相手の支持者を拘束,監禁,拷問して殺していると,パレスチナの人権団体が告発したというから,単なるネガキャン合戦の可能性もある,

 少なくとも攻撃を受けたUNRWAに限って言えば,癒着の可能性は低いでしょう.
 某元外交官氏によれば

UNRWAの事務局長は米国人で,幹部の多くも米国人,
>で,最大の援助国が米国なんで,そもそも「米国がもっとも影響力を有している国連組織」

>私の記憶では2004−5年あたりは米国が拠出金の50%くらい占めていたと思います.
>PDFをダウンロードすれば,詳細な拠出金の出資割合が分かると思いますが

ということですので.

なお,1/6に国連の学校をIDFの砲弾が直撃し,43人が死亡したとの主張については2/3,国連が撤回している.
 爆発は学校の建物外で発生し,校内にいた民間人に死者は出ていなかったことが判明した(H),という.

 また,2/4,ガザで活動するNGOの大半は,明らかに反イスラエルだと監視団体が報告している.
 ハマスを批判する声明はほとんど出ていない(Y),という.

 第2次レバノン紛争後,国連軍の「監視」がありながら,ヒズボラがやすやすと火力回復している現状を見ても,イスラエルが国連に不信感を抱かないはずがない.

 また,2009/1/7付,ガーディアン紙(by Rory McCarthy)によればイスラエルは,イスラエルは国連特別視察官が,パレスティナによるイスラエルの人権侵害ついては視察対象としていないことや,国連人権理事会がパレスティナにおけるイスラエルの行動にのみ焦点を当てていることに反感を持っているという.
 そのため例えば2007年には,調査委員でノーベル平和賞受賞者であるデズモンド・ツツ大司教の入国さえ,ビザ発給を拒んだとという.

 2008/12/28付,ガーディアン紙
http://www.guardian.co.uk/world/2008/dec/27/israelandthepalestinians1
によれば,開戦初日の世論調査では,
ガザ再占領を支持:20%
ハマス要人暗殺の再開を支持:27%
短期的軍事行動を支持:18%
とのこと.
 意外にもそんなに高くなかった?

▼ 一方,2008/12/31付,「Time」(by Tony KARON)によれば,
イスラエルの軍事行動を支持:81%
ハマスによるロケット攻撃をやめさせることができると考えている人の数:6%
と,こちらでは軍事行動への支持自体は高いが,先行きには悲観的である模様.▲

「Strategypage」:INFORMATION WARFARE: Gaza Cell Phones Targeted
によれば,パレスチナのテレビ放送などを中断させて,爆撃の警告のメッセージを流したり,同様のメッセージをパレスチナ人の携帯電話に送ることも行われたという.
 イスラエル軍の情報戦専門家は,この2年ほど,シリアやレバノンの電話システムをハックし――ハッキングとクラッキングは別物だそうだが,ここでは原文表記に従った――,テロ・グループに問題を起こさせるようなメッセージを拡散させたり,レバノン北部でヒズボラの誤りやウソを指摘するメッセージをテレビ放送に割りこませたり,反ヒズボラの内容のスパム・メールを携帯電話に送り付けたりしてきた,と同ページは述べている.

 過剰防衛だから.
 イスラエルの攻撃は初日だけで200人近い死者を出しているが,それに先立つガザからのロケット弾攻撃は,死者がいてもせいぜい一人.
 死者ゼロの日も少なくなかった.

また,2009/1/13付,ガーディアン紙(by Chris McGreal)によれば,イスラエルは以下の点で非難されているという.

 -軍が,そうすれば事態に関係のない人々を多く殺傷するだろうということを知っていながら,民間の地域で強力な砲弾を使用すること

 - 白燐弾のような禁止されている兵器を使うこと
(ただしこれはMcGrealがそう記しているだけであって,白燐弾が本当に禁止兵器に当たるかどうかについては,非常に疑わしい)

 - パレスチナ人の(一般の)家族を人間の盾とすること

 - 医療機関を攻撃すること.例えば,医療機関の印をつけた車両に乗った救急隊員12人を殺したことなど.

 - 軍事的な役割は一切担っていない警察官を大量に殺したこと

また,基本的にイスラエルが敵対してるのは,人道がどうこうとか通じない連中だしな.
 今ここで海外の圧力に負けると,相手は大喜びで調子づいて,
「もっと沢山ユダヤ人を殺そう!」
ってなるのは明白だ.
 だからイスラエルのモノの見方では,
「蚊帳の外でぬくぬく平和ボケしてる連中が喚いたところで,耳を傾けてる余裕はない」

『我々は全世界から哀れまれて死に絶えるより,
全世界から憎まれて生き残ることを選ぶ』
 誰の言葉か忘れたけど,これがイスラエルの根本理念.
 非難なんて知ったことかって国.

エジプトはパレスチナ自治政府アッバス議長(ファタハ)を支持しており,彼の要請がなければ開くことはしない姿勢だという.
 ハマスムスリム同胞団の支流だとエジプトは見なしているため,エジプトはアッバス議長同様,ハマスを敵視しているという.
 また,2008年初め,ハマスはラファの障壁に穴を開け,パレスチナ人をエジプトになだれ込ませることで,エジプトの現体制を危機に陥れてもいる.

 黒井文太郎によれば,ハマスがカネを受け取れば武器を買ってしまうだろうし,自治政府に渡すと,ほぼ全額が自治政府幹部のポケットに入ってしまうだろうという.

▼ 一方,イスラエルのイディオット・アハロノット紙によれば,BBCやスカイニュースは,公正な報道にならない上,資金がハマスに渡る可能性が高いためだとして,ガザ救援の募金広告の放映を拒否しているという.▲

▼ なお,イエルサレム・ポスト紙によれば,ガザ復興をめぐって,ファタハハマスが利権争いをしており,ハマス自治政府経由の支援を拒否し,独自基金への送金を国際社会に要求し,自治政府のほうはハマスに送金しないよう国際社会に求めているという.
 また2/5夜には,ガザの境界検問所付近に保管していたトラック10台分の小麦とコメが,ハマス政府と契約したトラックに持ち去られたため,UNRWAは
「支援物資が返還され,ハマス政府が再発防止を保証するまで搬入を中止する」
としたという.

 佐々木良昭によれば,西岸地区でもハマス支持の声が強くなり,ファタハに対する支持の声は聞こえなくなっているという.
 彼らはガザの住民との連帯を叫び始めているという.
 さらに,これまではイスラエル国外のパレスチナ人からは裏切り者扱いされてきた,イスラエル国籍のパレスチナ人すら,イスラエル政府に対する非難と,ガザ住民に対する支持のデモを行い,イスラエル警察との間で衝突を起こしているという.

▼ 「中東Today」,2009年01月07日付によれば,西岸地区のパレスチナ人の間で,最大でも100人規模のデモしか行われていないのは,パレスチナ自治政府の弾圧によるものであるという.
 これは,デモが大規模化すればするほどハマース支持の様相を濃くするからであり,西岸地区では,ハマースの旗を掲げることも,ハマース支持のプラカードを掲げることも,ハマース支持のスローガンを叫ぶことすらも,許されていないという.▲

▼ ハマスハマスで,1/4には,IDFの侵攻開始に乗じてガザのファタハが反乱を起こすのを防ぐため,ハマスは大規模なファタハ弾圧を開始,幹部75人の手足を折るなどし,また「イスラエル内通者」として35人を処刑したという.(P)
 プロパガンダも疑われる報道ではあるが,ファタハハマス紛争を踏まえて考えると,可能性がないとも言えないところが恐ろしい.▲

▼ なお,2/5に発表された,自治区世論調査によると,ハマスファタハの支持率は,西岸地区で29%対24%,ガザでは28%対36%.
 ハマスが今回の戦争に勝ったとの意見は西岸地区で53%,ガザで35%だった(Y)という.▲

▼ ところが2/9,自治区で戦争後に行なわれた面接世論調査では,ハマスの支持率が低下.
 ガザでは昨年11月に51%だったが,現在は28%.
 ハマスの戦略は間違いだとの意見は,西岸地区で48%,ガザで56%.(P)

 ただし,シャリート兵士の解放と引換えに多数の囚人が釈放されると,ハマス
の人気が上昇するのは確実であり,IDFは,ファタハを支援するため自治政府の支配区域拡大などの対策を検討している(P)という.

 上記数字はいずれも「イスラエル・ニュース」より.

 どうやらパレスチナ問題に関では,世論調査の数字さえ動きが激しくてアテにならないようだ.▲

 前からアラブ寄りだったと思いますけど.
 ただまあ,それはそれでアラブの中の人の考え方・情報としては価値があると思いますけど.
 日本のメディアは大まかに言って,内実を知らずに単に情緒的に親パレスチナなだけなんで.

 その昔,リビアに留学してた人ですね.>佐々木氏
 日本では数少ない同国の専門家かと.
 ということで基本,アラブ寄りの論調になるのは不思議でないです.

 …とても変わった方でもあるんですが.('A`)

 私見では,アラブ諸国は口ではアラブの大義を唱えるものの,行動実態としては国益重視であることから,「ヒズボラの頑張り次第」という見方も,どこまで根拠があってのことなのか疑問の余地がある.

 また,サウディアラビア外相,サウド・アル・ファイサル王子などは,パレスチナ人の分裂を非難したという.
 同紙はまた,エジプトの立場についても触れているが,それによればエジプトは,パレスチナ人を支援しつつ,その支援がハマスを助けることにならないよう――ハマスムスリム同胞団の兄弟団体であるので――微妙な綱渡りをしなければならない立場にあるという.

 同紙の情報が正しいとするならば,とうてい中東戦争に発展するようなムードとは言えないだろう.▲

▼450 名前:名無し三等兵[sage] 投稿日:2009/01/05(月) 19:33:37 ID:???

 今回のイスラエル軍ガザ侵攻は,イスラエルにしてみればガサ入れみたいなもんだわな.
 エジプトが国境を閉鎖している限り,武器類や義勇兵流入は皆無に近いから軍の損害が増えたり,他の中東諸国に戦火が拡大する可能性は殆どないし.

 それに市民レベルではともかく,イランを除く中東諸国は静観に近い状況.
 特に湾岸産油国は,原油価格が上昇に転じてかえって正直,喜んでるんじゃないかな?
 かくいうイランも,核開発疑惑の批判をかわせるし,原油価格は上がるしで,内心では喜んでるはず. 

第二次レバノン戦争の戦訓からイスラエル政府は,National Information Directorateというのを8ヵ月前に新設して,そこがアラビア語メディアなどに攻勢をかけているそうです.
 YouTubeにチャネルを設けたのも,その活動の一環だそうです.

 ちなみに,第二次レバノン戦争のときもIDFは無人偵察機で撮影した,ヒズボラがアパートの窓からロケットを撃つ映像とか公開してましたけど,日本のメディアは,イスラエルを悪玉視するのに都合の悪い情報は無視するみたいですね.

 中東での紛争解決専門のNGO(英国登録チャリティ団体)「Forward Thinking」の設立者William Sieghartによれば,ハマスを危険団体視するのは誤りだという.
 彼によれば,指導部には500人を超えるPhD取得者(博士)がいて,大半は医師,歯科医師,科学者,技師などミドルクラスの専門職であり,指導部のほとんどは英国の大学で教育を受けており,西洋に対して一切のイデオロギー的な憎悪は抱いていないという.

 しかし一方,MEMRIによれば,ハマス指導者たちがメディアを通じ
イスラエルの壊滅,全ユダヤ人の抹殺,アメリカ打倒,イスラムの世界制覇を呼号」
しているという.

ハマスの政治局長ハリド・ミシャールKhalid Mish'al は,以下のように述べている.

>イスラエルの命令に従うことを拒んだとき,彼〔アラファト〕はラマラの本部に閉じ込められ,
>2年にわたって戦車に包囲されたのだ.これでも彼の決意を覆すことができず,彼は毒殺された.
(強調:引用者)

 こういう典型的な陰謀論を開陳するところから見ても,「イデオロギー的な憎悪は抱いていない」などとする主張には,あまり信憑性は内容に思える.

 イスラエルパレスチナ人との戦争に引きずり込むことで,ハマス自身のアラブ世界から,また,パレスチナ人からの支持を再び上昇させる狙いがあった可能性が高い.
 2008/12/30付,「Washington Post」紙(by Daoud Kuttab)によれば,ハマスは11月,エジプトの仲介による,ファタハとの和平会議をドタキャンしたため,エジプトや他のアラブ諸国指導者たちからの公的な批判に晒されることとなっていたという.

 また,国際社会からの経済支援が得られないこと,ガザに隣接するエジプトとハマスとの関係悪化,ハマスの内政能力の欠如から,パレスチナ人のハマスへの支持は急落.
 2008年11月の世論調査では,ファタハ支持が約40%だったのに対し,ハマスへの支持は16.6%にまで落ち込んでいたという.

 詳しくは同紙を参照されたし.
 ただし米国メディアは平均して見るにイスラエル寄りなので,その点は留意されたし.

 ちなみにガザ紛争後,パレスチナ人のハマスへの支持は急上昇.
 まんまとハマスの思う壺に嵌っているイスラエルは,アホとしか言いようがない.

ラファ市民Rafah Kidの,1/16のブログより.
 決してハマス寄りではなかったパレスチナ人の,ガザ紛争開始後の心情が窺える.

 私たちは主権を有する国家ではない.
 祖父たちのガザの家は破壊された.
 父の家,私の家でもある (という意味だと思います).以前は私たちには家があり,木々があり,商売もやっていた.
 しかし(パレスチナの)土地を削り取ってイスラエルができたとき,私たちは去らねばならなかった.
 そしてガザ地区に,まるでニワトリのように閉じ込められねばならなかった.
 いずれ戻れるからと告げられていたが,65年経過した今,囚われの身である.
 そして最近ハマスが力をつけてきて,必ずしも全員がハマスのことを好きではないのだけれども,ハマスは(圧制に対して)立ち上がろうとしている.
 だが,彼らを囚われの身にした人たちの土地に向かって彼らが攻撃したときに,世界は彼らのことをテロリストだと断罪するという.

 問題は「ユダヤ人」ではないし「イスラエル」でもないし「シオニズム」でもない.
 「占領」だ.

 占領を終わらせろ.
 土地を失った人たちに賠償を.私たちに主権国家を与えよ.
 私たちが自分たち自身の(行政)サービスや電気,水を行ない,空港を運営し,軍を持つことを認めよ.
 私たちが,自分たちの産品や資源を世界と取引することを認めよ.
 そのときにようやく,この見捨てられた土地で起きていることについて,私たちにやめろと言うことができるのだ.

 ハマスの地盤はガザ地区
 自治区とは名ばかりの狭いゲットーみたいな地域.
 そこから出たらハマスは力を失うし,後背地のエジプトはどっちかというと,過激派のハマスが勢いづくことで国内のイスラム原理主義者とつながりを深くすることを警戒している.

 イスラエル軍にしてみたらどっちも餌なんだが,ヒズボラはまだ他人の池に泳いでいる状態.
 他の魚からより分けて釣り上げて,それからやっと料理が出来る.
 ハマスはとっくにまな板の上に載ってる.

http://www.zion-jpn.or.jp/p0404.htm
によれば,ハマスはガザ市内の民家に仕掛け爆弾や複雑なトンネルのネットワークを構築.直接対決は避けて民間人の影に隠れて反撃し,兵士誘拐などを目指している模様だという.
 1/9にIDFがガザ北部アタトラで入手した,ハマスの作戦地図によれば,民間施設を盾に拠点を設置し,ガソリンスタンドに爆弾を仕掛けて近隣住民ごと殺害するなど,民間人犠牲を増大させる戦略もとっているという.(H,P,Y)
 詳しくは2009年1月8〜9日付エルサレム・ポスト紙,1/9付ハアレツ紙を参照されたし.

▼ さらに2009年1月14日付報道によれば,IDFの制服を着てIDFに近づき自爆を試みたともいう(H,Y)▲

 ただし,この報道もプロパガンダ工作の一環である可能性を考慮する必要がある.

 最初のカッサム1では射程3〜4.5km程度で弾頭0.5kgという過激派レベルでしたが,カッサム2では射程10km弱で弾頭5kg以上と格段に高性能になっています.
 最新のカッサム4では射程15km以上に達したとも.

 ちなみに,BM-21グラードは射程20km,弾頭18kgで原型は旧ソ連製.
 ほかに射程40km近いのも使い出して,どうも中国製かイラン製と.

 イスラエルとしては,ハマスに一定以上の打撃を与えたと確信するまで,停戦に応じる気はないだろう.
 でなければ何のために,国際世論からの非難を押し切ってまで強攻したのか分からなくなる.

 一方ハマスハマスで,「お家の事情」があって,こちらもなかなか難しそうだ.
 2009/01/08(木) 11:04:08付,「スパイ&テロ」(by 黒井文太郎)によれば,ハマスはその軍事部門を完全に統制しきっておらず,和平を望んだ瞬間に裏切り者呼ばわりされ,「カッサム旅団」の一派などの強硬派から内ゲバに遭うことを恐れているという.
 ……まあ,ハマス自身,ファタハとの間で同じような内ゲバをしてるわけで,ある意味「因果応報」.

 そのため,「ハマスもっと頑張れ!」との声は結局のところ,強硬派をさらに勢いづかせ,現地の人々に不幸をもたらす結果になっているという.

 また,同じく黒井文太郎によれば,ハマスの行動を抑えられるのは,言い換えれば,今回の紛争の調停ができるのはシリアだけだという.
 ハマスの聖域は今はもうシリアしかなく,後ろ盾となっているのは同国とイランだけ.
 アラブ人からするとイラン人というのは所詮ガイジンであって同志ではないので,イランにはシリアほどの影響力はないようだ.

 黒井文太郎によれば,ハマスの軍事部門「イッザルディン・アル・カッサム隊」は,90年代後半,ハマスでもほぼ完全に過激路線のヨルダン支部の指揮下にあって,地元組とは違うラインで動いており,現在も国外をベースとする過激派を統制できていないだろうと推測できるという.
 そして,その当時ハマスのヨルダン支部の中心人物だったのが,現在シリア在住のハリド・メシャルであり,現在,強硬派の主流派でもっとも影響力があるのはこのメシャルであるため,それゆえメシャルに影響力を持つシリアが,問題の鍵を握っているという.

「Strategypage」:INFORMATION WARFARE: Hamas Steps On The Wrong Toes(2009/1/5付)
によれば,第1に,ハマスパレスチナ人の生活のルールを,サウディアラビアやイランのような宗教的に厳格なものに変えようとして,文化的に穏健なアラブ人の怒りを買っていたため.
 第2に,ハマスシーア派であるイランから軍事援助と軍事指導を受けることにより,約80%がスンニー派であるアラブ人の怒りを買っていたためだという

 そのためアラブ諸国は,口ではハマス支持を表明しているものの,内心ではハマスの傲慢な鼻っ柱を折られることを望んだという.

▼ ちなみに2/11,人権団体のアムネスティが,ガザ住民に対するハマスの人権侵害を非難.
 反対派への暴行,殺害で恐怖政治を行なっている模様(P,Y)だとか.▲

 2009/1/26付,MEMRIを信頼するとするならば,ガザ紛争で死亡したパレスチナ人を,「犠牲者」と呼ぶか,「殉教者」と呼ぶかを巡って起きている論争.

 「殉教者」呼称支持派は,彼らが殉教者でないなら,誰が殉教者だというのだと主張し,呼称に噛み付いている暇があったら,ガザのパレスチナ人への殺戮行為を止めるよう呼びかけるべきだろうと述べている.
 一方,批判派はクルアーンコーラン)には,アッラーのために殺された者を“殉教者”として記述したくだりがないことを論拠に挙げている.

 この論争で問題なのは,中傷合戦に発展している点で,MEMRIによれば,“殉教者”と言わなければ西側の手先呼ばわりされ,異端だ背教だと罵詈雑言を浴びるという.
 例えばヒズボラ書記長ナスララ(Hassan Nasrallah)は,演説のなかでアルアラビヤをガザ住民に対する偏見報道と呼び,
アルアラビヤをアルイブリヤ(ヘブライ)放送と呼びかえたらどうか」
と皮肉っている.

*1:生存権を認めないというとかなり強い響きだが、国家として承認しない以上は生存権も認めないという程度の意味合いかもしれない。関係が改善すれば認める可能性もある。http://www.47news.jp/CN/200804/CN2008042701000422.html