「短射程戦術核兵器」戦争の悲惨さ

自国自身が、自己の判断で、自国領土内で、攻め込んできた敵軍に、核攻撃を行う。

これが短射程戦術核兵器を譲渡する事の意味です。攻め込んできたソ連軍に対し、アメリカ軍が核攻撃を行った場合、戦場となった国は大被害を受けます。アメリカ軍の行動がNATO指揮下のものであり、NATO加盟国が納得済みであったとしても、被害を受けた国の国民はとても納得できないでしょう。例え戦争に勝てたとしても、核攻撃を行ったアメリカは恨まれる事になります。味方殺しの罪・・・核兵器シェアリングとは、この味方殺しの罪を一緒に背負うという意味があります。アメリカ一国に罪を背負わせるのではなく、 NATO全体で背負っていく為に・・・故に核兵器を使用直前に配備国へ譲渡し、配備国の責任の下に使用します。自国領土に核を落とす決断を、自国自身の手で行う為に。これほどまでの悲壮な覚悟を持っていなければ、核兵器シェアリングに参加することなど出来ません。お手軽に核武装できる手段だと勘違いしている人が居ますが、それは甚だしい間違いです。

構想自体が「自国領土内での迎撃戦闘に核兵器を用いる」という前提であるが故、核兵器シェアリングで譲渡される兵器は短射程のものに限られます。敵国の中枢部を直撃できる長射程の核兵器は、そもそもこの核兵器シェアリングという構想の目的外のものです。

使う時には自国民の巻き添え覚悟。人的被害が無くても国土は汚染。こんなもの使いたくないな。
戦争するにあたって必要な覚悟を端的に示している感じがするシロモノかなと。