ペシャワール会の死んじゃった人

話だけ見れば美談です。ですが「治安部隊の人質解放作戦を側面支援」していたとは、到底思えません。一般人の、統制の取れていない勝手な作戦行動が行われてしまえば、まともな救出作戦は出来なくなってしまいます。

だからこの話は美談にしてしまってはいけないのです。ベスラン学校占拠事件も、そして今回のアフガニスタン伊藤さん殺害事件も含めて、あらゆる人質誘拐事件で共通する事です。

ですが今現在、地元の大勢の民衆が伊藤さんを救おうとライフルを持ち立ち上がった事は、只の美談で済まされています。その一方でアフガン警察の不手際を責める声は上がっています。しかし勝手に山狩りを始めて犯人を追い立てた、武装した民衆を非難する声は聞こえてきません。再度言いましょう。

伊藤さんを慕っていた民衆が武器を持って犯人を追い立てた話を、単なる美談にしてしまってはいけません。そして警察の不手際を責める人は、警察を責める前にこの事を理解してください。警察の取れる作戦行動の選択幅を大幅に狭めたのは、善意の民衆であったという事を。

困ったもんですなぁ。警察が動く前に暴動が起こって暴徒と犯行グループが衝突するんじゃ安全もクソも・・・最悪人質が流れ弾で死んだっておかしくないよな。

中村哲医師の言う「我々が言うタリバーン」の定義は言葉通りのタリバーン(神学生)であり、組織としてのタリバーン武装勢力)を意味しません。しかし問題となるのは当然、組織としてのタリバーン武装勢力)である筈です。組織としてのタリバーンは発足当初から様様な勢力を取り込んでおり、純タリバーンのみをタリバーンだとする中村哲医師の定義は、タリバーンを無理矢理に擁護する手段に過ぎませんでした。しかし皮肉にも、犯人はマドラサで学ぶ純タリバーンだったのです。

そしてこの事実は、マドラサがテロリストの温床となっている事を裏付けるものとなってしまいました。ペシャワール会がアフガン支援でマドラサの建設を進めている際にも出ていた批判です。

なんとも報われませんねぇ。現地の人が銃を取って助けようとするほど支持している、そんな人がテロリストに殺されてしまう。
しかも誰がテロリストだか区別つかないみたいじゃないの。純粋な学生だと思っていたら背後に武装勢力か・・・
ところでタリバーンって何?武装勢力?学生組織?米軍に抵抗する意志を持つ人全て?